毎年10月29日は「世界乾癬デー」皆さんは乾癬という病気をご存じですか?

公開日:2019.11.19

更新日:2019.12.6

毎年10月29日は「世界乾癬デー」皆さんは乾癬という病気をご存じですか?

毎年10月29日は「世界乾癬デー」とされ、世界中の乾癬患者さんが意見を表明するための世界的なイベントが開催されていますが、日本でも昨年、乾癬は「感染しない」という理解を深めるとともに、乾癬の患者さんが「悲観」せずに生活できる社会を作るための疾患啓発プロジェクトが立ち上がりました。その名も「HIKANSEN(ヒカンセン) project」。今回は乾癬という病気について正しく理解したいと思い、そのプロジェクトが行う、等身大になって乾癬について語ろうという交流の場所「HIKANSEN SALON」というイベントに参加してきました。

乾癬という病気を知っていますか?

皆さんは乾癬という皮膚の病気をご存じでしょうか?
乾癬とは原因や根治療法が明らかになっていない、皮膚の炎症症状を伴う慢性の皮膚疾患であり、日本にも患者さんが50~60万人いると推定されています。皮膚症状の見た目や現れる場所は人によってさまざまですが、典型的な症状は、皮膚が赤くなる、赤くなった皮膚が盛り上がってその表面がかさぶたで覆われる(鱗屑)、その鱗屑がポロポロと剥がれ落ちるということが見られます。
また、乾癬は人にうつる病気ではないのに「かんせん」という名前から「人にうつる」と勘違いされることが多いという問題があるそうです。

トークセッション「乾癬とともに歩む今」

トークセッション「乾癬と共に歩む今」

トークセッション「乾癬と共に歩む今」

左から、NTT東日本関東病院 皮膚科 部長 五十嵐 敦之 先生、一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会 山下 織江 さん
最初のプログラム、専門医と患者さんによるトークセッションでは、患者さん自身の悩みを直接伺いながら、乾癬との向き合い方について考えました。

患者さんの悩みについて

乾癬はボディーイメージが損なわれる病気。痒みや関節が痛くなるという自覚症状より、見た目を気にする人が多いそうです。体のあちこちに乾癬が現れて、頭から鱗屑がたくさん落ちてくることを人に見られていると気にしてしまい、積極的になれず引きこもってしまう人も多いとのことです。

「つながる」ことが体にも心にも効果的

トークセッションに登壇された山下さんは、幼いころに乾癬を発症したため、どこまで肌がよくなるのかわからないという疑問があったそう。そういった疑問には同じ患者さんの生の声がとても重要で、先輩患者さんの話を聞いてイメージしていたそうです。

また、専門医である五十嵐先生からも、今は治療の選択肢が増えているので自分に合った治療を選択するためにも、病院だけではなく悩みや情報交換ができるこのような場所はとても大切。精神的な支えになるし治療にも前向きになれるとお話しされました。

テーマセッション(1)「治療費のギモン」

テーマセッション(1)「治療費のギモン」

テーマセッション(1)「治療費のギモン」

左から、フィナンシャルプランナー 黒田 尚子 さん、聖路加国際病院 皮膚科 部長 新井 達 先生、一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会 大蔵 由美 さん
テーマセッションでは、患者さんから「知りたいけど聞きにくい」と、いう声が多かったお金の話について。お金のプロであるフィナンシャルプランナーを交えて、治療費をどうやって備えればいいのかという、ライフプランについてもお話を伺いました。

長期に渡る治療が必要になる乾癬

乾癬は、治らないという心配があるほど長く付き合ってきかなければいけない病気なので、治療費を心配される方も多くいらっしゃるようです。専門医の新井先生からは、もちろん効果が期待できる治療法を進めているけれど、患者さんにとっては実際にどれくらい費用が掛かるのかも重要な要因。特に、今行っている治療法から新しい治療法に変更するタイミングについては、患者さんからの相談が最も多いそう。治療の種類も増えてきているので高額なものもあり、その治療法をずっと続けられるか心配だと感じている患者さんが多いとのことです。

治療費が軽減される制度を活用

治療を受けるにあたり、患者さんがしっかり治療を行えるよう国が考えた医療費制度がいくつかあるということ。治療費が軽減される制度をご紹介いただきました。

【1.税の負担が軽減される制度】
・医療費控除
税の還元があるからあとで還付されて戻ってくるという制度。
1年間に10万円以上の医療費がかかった場合確定申告をすれば所得控除につながりお金が戻ってきます。

【2.医療費の負担が軽減される制度】
・高額医療制度
医療費が高額になった際に、患者さんの年齢や収入に合わせて1か月に支払う上限を決めて、それを超える金額を健康保険から払い戻してくれる制度。
・付加給付制度
加入している健康保険組合によっては独自の医療費助成制度があり、例えば高い薬を使う上限が2万円や3万円だったりする場合があります。

また、高額医療費については回数を重ねるごとによって負担が増えるため、年に3回以上受けると4回目は医療費が軽減されるしくみもあり、患者さんの負担をなるべく抑えて継続して治療ができるように作られています。

治療費を備えるためのライフプラン

またフィナンシャルプランナーの黒田さんからは、乾癬の治療についてどのように備えればいいのかなど、ライフプランについてもお話しいただきました。自分が加入している健康保険の内容や勤務先の付加給付を確認することの他に、家計を改善させることも重要とのこと。家計を改善するためには、収入を増やすか収支を減らすかどちらかの方法だけ。収入を増やす方法としては長期に安定して働くこと、また働き手を増やすこと。収支を減らす方法としては、ジェネリック医薬品の活用や、住宅ローン、生命保険などの固定費の見直しなどを行うこと。ライフプランについては「つかうお金」「そなえるお金」「のこすお金」のうち、「のこすお金」を決めて引き算をし、残りのどのように使うのか考えれば組み立てやすいとのことです。

お金については面倒とか難しいという人が多いけれど、ポイントを押さえて生活すれば生活が豊かになるツールになるとお話しされました。

テーマセッション(2)「食事のギモン」

テーマセッション(2)「食事のギモン」

テーマセッション(2)「食事のギモン」

左から、管理栄養士 北村 文乃 さん、帝京大学医学部付属病院 皮膚科 主任教授 多田 弥生 先生、一般社団法人INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会 大蔵 由美 さん
次のテーマセッションでは、乾癬と食の関係性について。栄養管理士から食との向き合いかたや、健康な体になれるからだにいいレシピについても教えてもらいました。

乾癬と食べ物のかかわりについて

乾癬に治る食事がないのか、何か食べてしまったから乾癬になったのではないか。という疑問がありますが、食べ物と乾癬のかかわりについて実際に証明されたものは無いそう。ただ、食事との関連で唯一分かっていることがあり、太ると乾癬になりやすいということです。

太ると脂肪細胞の質が変わってしまい、メタボリック症候群になったりコレステロール値が上がったり糖尿病になってしまったり。そういった太りやすい生活習慣があると、乾癬が悪くなる可能性があるそうです。

栄養管理士の北村さんによると、ライフスタイルが多様化しているため、食との向き合い方も多種多様になっていること。これは食べるけどこれは食べない、ということは避けて、日々の食生活の中でバランスよく栄養分を摂ることが大切。また、栄養バランスをいかに簡単に摂取できるかという、栄養効率が求められている時代にもなっているとのことです。

おすすめの食事(1)「シェントウジャン」

そういった点で北村さんおすすめの食べ物は、豆乳をベースにした台湾の朝ごはん「シェントウジャン」。タンパク質が取れる豆乳と、血糖値を上げにくくするお酢を使っていて、ねぎやえび、ザーサイ等をトッピングすることでマグネシウムやカルシウムも摂れるため、一皿でいろいろな栄養素が摂れる料理になっているそう。

おすすめの食事(2)「ライスサラダ」を試食

サーモンとカリフラワーのライスサラダを試食

サーモンとカリフラワーのライスサラダを試食

また、栄養効率が上がる料理として、北村さん監修のサーモンとカリフラワーのライスサラダをご紹介いただきました。ライスサラダとはチラシ寿司を洋風にしたサラダ寿司で、包丁も使わず簡単にできる料理。今回は、ごはんの3分の1をビタミンCが豊富なカリフラワーに充てて栄養値を上げているとのこと。ブロッコリー類は茎の部分に栄養素が多いのでその部分も使ったり、食物繊維が多い野菜の皮の部分を使ったり、そういった工夫をすることで栄養値の高い料理に仕上がるという豆知識も共有していただきました。

栄養バランスは1食ではなく1日単位で考える

また栄養バランスのとり方については、1食で全ての栄養素を摂るのは難しいため、栄養バランスは1日単位で考えることが大切とのこと。朝食を食べない人が多くなっているけれど、朝を抜くと昼と夜に摂れるもので一日の栄養素が決まってしまうため、口に入れる食品を増やすためにも朝食はとったほうがいいというアドバイスも頂きました。

新プロジェクト発表「Fact FASHION」

Fact FASHION

Fact FASHION

左から、株式会社リバースプロジェクト プロデューサー 藤澤 はるか さん、共同代表 亀石 太夏匡 さん、一般社団法人 INSPIRE JAPAN WPD 乾癬啓発普及協会 山下 織江 さん、大蔵 由美 さん
この日初披露されたシャツを皆さんで纏い登壇されました。
このイベントの最後には、患者さんの衣服についての悩みから生まれた新プロジェクト(アパレルプロジェクト)の発表がありました。その名も「Fact(真実) FASHION」。

乾癬患者さんの中には、患部を見られることに抵抗がある。外用薬による衣服が汚れる。など、衣服の制限にストレスを感じている人が多いとのこと。その声を聴いた株式会社リバースプロジェクトはHIKANSENプロジェクトとコラボレーションし、患者さんのこんな機能があったらうれしいという声を聴いて、患者さんの心と体に寄り添った服を作ろうと立ち上がったアパレルプロジェクト、それが「Fact(真実) FASHION」です。

衣服16種類の試作品の披露

試作品の展示ブース

試作品の展示ブース

シャツやズボンなど合わせて16種類が用意されました。
この日は試作品の披露もあり、シャツやズボンなど合わせて16種類が用意されました。塗り薬の油がつきにくい布を使ったり、はがれた皮膚が落ちないよう袖口などが絞れるようしたりと、デザインに工夫が凝らされていました。

乾癬患者さんの「真実(Fact)」に着目

乾癬患者さんから寄せられた「Fact」

乾癬患者さんから寄せられた「Fact」

この日会場には乾癬患者さんによるたくさんのFactが寄せられました。
リバースプロジェクトのプロデューサー藤澤さんは、患者さんの声をとにかくたくさん聴いて、機能性はもちろんデザインにも力を入れることで、患者さんに選ぶ喜びや、着る喜びを感じてほしい。そして、プロジェクトを進める中で「真実(Fact)」と「事実」の違いをとらえることを大切にしていて、病気の症状は「事実」だけれど、それを理解して洋服に落とし込むことはできても、患者さんの悩みや心の奥底を聴かないと「真実」を理解したことにはならない。とお話しされました。

会場では、「Fact」の裏に書き込まれた患者さんからのたくさんの声も展示。今後も意見をさらに募り、来年には完成させて販売する予定となっています。

「HIKANSEN SALON」で学んだ繋がることの大切さ

今回のイベント「HIKANSEN SALON」で、「SALON」と題しているのは、等身大で話し合えるつながりの場という意味があります。イベントには患者さんと専門医だけでなく、フィナンシャルプランナーや管理栄養士などたくさんの専門家が来場し、診察時には聞きにくい、日常の疑問や前向きに乾癬と向き合うための工夫など、たくさんの情報を共有しました。
また、今回のイベントでは、WEB上でのライブ配信やリアルタイムで質問ができるOPEN CHAT(オープンチャット)も導入され、たくさんの人とつながる場所となりました。そしてこのような社会的にとても意味のあるイベントに参加させていただき、私自身もつながれたことをとても嬉しく思います。

今回のイベントに参加し、病気と向き合って生きていくのが困難だと感じる人が多い今の社会で、一人一人が病気について正しく理解すること。そして、たくさんの人がアイディアを出すことで患者さんが制限されることが少なくなり、もっと多くの人が暮らしやすいと思う世の中を目指せるのではないかと思いました。

会場に集まったFact(真実の声)によって乾癬の患者さんが生きやすい世の中になりますように。そしてこのイベント「HIKANSEN SALON」でのFact(真実の声)が社会を生きるたくさんの人に届きますように。