土の中の見えないものが「見えるもの」をつくっている

公開日:2020.11.4

更新日:2020.11.25

土の中の見えないものが「見えるもの」をつくっている

社会起業家ジョン・ムーアさんの“笑顔になれる暮らしのヒント”をご紹介します。
秋が終わると、葉は落ち、植物も枯れ、景色はとても静かに見えます。しかし、見えていない土の中では、一番忙しい時を迎えています。今回は見えないものからつくられる「見えるもの」について考えていきましょう。

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この記事の監修:ジョン・ムーアさん

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社会起業家、オーガビッツアンバサダー。英国公認教師、オーガニックフード・ガーデニング教師。英国シェフィールド大学卒業後、教師を経て、電通に入社。その後、パタゴニア日本支社長などを歴任。現在は一般社団法人シーズ オブ ライフ代表理事として活動中。

土壌のバクテリアは冬も働いている

四季を持つ日本では、自然は春夏秋冬、実に様々な表情を見せてくれます。葉が落ち、花もなく、時に雪に覆われる冬の景色は、一見生命力がなく、さみしく感じられます。しかし、私たちに見えない世界では、生き物たちがせわしなく働いているのです。

それは、「土の中」です。冬の植物は静かに春が来るのを待っているだけではありません。春に備えてエネルギーを蓄えているのです。植物は、内側へ内側へと力を集めます。木の幹から根へ、根はさらに下へ。深く深く、土の中を張りめぐります。そして、根のまわりの微生物と虫たちが協力して、植物に栄養とエネルギーを集めてくれます。

土壌のバクテリアは生命力にあふれた土をつくります。バクテリアたちは栄養たっぷりの土をつくり、バクテリアは植物の根から栄養素を受け取ります。しかし植物とバクテリアは友達ではありません。「共生関係」です。片方が死ねば、もう片方も死ぬという、お互いがいないと生きていけない関係なのです。このやりとりは、とても小さくて、ゆっくり。根のまわりのバクテリアが1平方センチメートルの土をつくるのに、100年くらいかかります。自然界のスローフードは、これくらいゆっくりのスピードなのです。

そして、本物の土は多様な生物の命に満ち溢れています。1平方センチメートルの表土の下には、数千キロメートル生きたネットワークが張りめぐらされています。微生物やバクテリア、菌類、根が土の中でつながり、エネルギーを生み出し蓄えているのです。このネットワークが、春に芽吹き、花を咲かせる力を支えるエネルギーなのです。

命はいつも命から生まれます。人間の目では、地球上の生命体の大半は見ることができないでしょう。見える世界でさえ、限られた光のスペクトルの範囲でしかないのです。見えないものは、見えるものをつくります。目に見えないバクテリアが私たちの食べ物をつくり、植物は光をエネルギーへと変換します。では、光はどこから生まれたのでしょうか? 冬の一日、見えない世界を感じ、命のつながりを想像してみませんか?
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ジョンさんからの一言

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ジョンさんがアンバサダーを務めるオーガビッツとは?

取材・文/坂田奈菜子 イラスト/ハシモトジュンコ