【連載】慣れない「リモートワーク」で感じるストレス。どう対処したらいい?

公開日:2020.5.6

更新日:2020.8.13

【連載】慣れない「リモートワーク」で感じるストレス。どう対処したらいい?

メンタルアップマネージャ®の大野萌子さんが人間関係でストレスをためない方法を教えてくれるこの連載。第9回目のテーマは、「リモートワークのコツ」です。新型コロナウイルスの影響で、突然リモートワークをすることになった人も多いはず。慣れない仕事のやり方にストレスを感じることはありませんか? スムーズに仕事を進めるためのポイントを大野さんに教えてもらいました。

この記事の監修

大野萌子さん

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日本メンタルアップ支援機構 代表理事。メンタルアップマネージャ®、産業カウンセラー。企業の健康管理室カウンセラーとして、数多くの働く人を支えている。長年の経験を活かし、人間関係改善のコミュニケーション術やストレスマネジメントについて、講演・研修などを行う。

日本メンタルアップ支援機構
https://japan-mental-up.biz

リモートワークで感じる、たくさんのストレス

リモートワークが始まり、時間的なゆとりが生まれた半面、コミュニケーションの部分でストレスを感じている人もいます。「意思疎通が取りづらく、仕事がスムーズに進まない」「家族全員が家におこもり状態で、集中できない」。突然のリモートワークに、そんな戸惑いや心の疲れを感じることも……。リモートワークで感じるストレスを、上手に解消する方法をご紹介します。

ストレス① 相手の状況が分かりづらい

【ここがストレス】
・頼んだ仕事がちゃんと進んでいるのか見えづらい。「どうなっているの?」と聞くのも催促になりそうで…。
・職場なら自然と耳に入る情報が入ってこない。そのせいで突然仕事をふられたり、情報を知らされたりすることが多く戸惑う。
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在宅で仕事をするリモートワーク。対面で仕事をする場合との大きな違いは、「進行がわかりづらくなる」ことです。

例えば、職場にいれば、「今日は上司が忙しそうだから、落ち着いた頃に話そう」とか「このプロジェクトはそろそろ動き出しそうだな、準備しておこう」というのも “肌感覚”でわかりやすいですよね。

そもそも、仕事やコミュニケーションをスムーズに進めるために「察すること」は、日本人ならではの特徴といえます。しかし、リモートワークでは、そうした「空気を読むこと」が難しくなり、相手の状況や感情、仕事の流れが見えづらくなります。人は、「状況が見えない」「分からない」といったことが大きなストレスになりやすいのです。

【ポイント①】具体的なイメージや締め切りをはっきり!

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リモートワークでは、空気を読んだり察したりすることができない分、「はっきり具体的に」やり取りするのが肝心です。

対面なら、簡単に説明して「あとはやっておいて」で済むことが、相手の仕事ぶりが見えづらいため、途中経過がわかりづらくなります。「できあがってみたらイメージと違った」「お願いしたこととズレていた」なんてことにもなりかねません。

仕事をお願いする側、される側のお互いのために、リモートワークで仕事を頼むときは、「いつまでに、こういうふうに仕上げてほしい」と具体的に伝えること。逆に、頼まれた仕事の締め切りや、やり方に疑問があれば、きちんと質問をして曖昧さを残さないようにします。

ストレス② 意図が伝わりにくい

【ここがストレス】
・メールやチャットがメインのやりとりになり、細かい意図が伝わりにくい。
・オンライン会議は、あいづちや表情がわかりにくい。「ちゃんと聞いてる?」と思うことも…。
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メールやチャットは表情が見えない分、コミュニケーション不足に。特に、意図が伝わったか、相手がどう思っているか、などがわかりづらいことがあります。伝えたはずなのに、相手が見落としていたなどの行き違いも起きやすくなります。

また、オンラインでの会議は、「本当にわかっているのかな?」「ちゃんと会議に参加している?」と、対面より相手の表情が読み取りにくい分、ストレスに感じることもあります。

【ポイント②】オンラインミーティングや電話で補足を

文字のやり取りが増えるリモートワークですが、短い文がどんどん入ってくるチャットは、会話が流れてしまいがち。大事なことはチャットよりメールにするなど、上手に使い分けを。重要なことは、電話やオンライン会議でコミュニケーション不足をフォローしましょう。直接、会話をすることで、行き違いや理解不足を防げます。
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オンライン会議では、できるだけしっかりあいづちを打ったり、こまめに発言したりすることも大切。「自分がきちんと理解している」ことをアピールすることになります。逆に、相手の理解度が心配なときは、「○○さん、ここまで大丈夫ですか」と、区切りのいいところで意識的に声をかけましょう。

連絡や報告をしやすいように、1日1回、チーム内で定例オンライン会議を設けるのも、コミュニケーション不足解消におすすめです。

ストレス③ 家族がいて集中できない

【ここがストレス】
・家事と仕事のオンとオフが切り替えづらい。子どもが家にいて仕事がはかどらない。
・家族みんながずっと同じ空間にいると、イライラすることが増えてストレス。外で気分転換もできないし…。
・生活リズムが乱れている。ダラダラしてしまい、かえって疲れてきた。
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子どもを含めて、家族全員が「おこもり状態」。当然、ストレスを感じやすくなります。普段以上に食事の準備や片付け、掃除など、やることが増えて家にいるほうがぐったり。そんな働くお母さんも多いのでは? 自粛生活が長引くほど、つい子どもを叱ったり、夫への不満が募ったりします。

また、一日中家にいると気持ちの切り替えができず、パジャマでダラダラ仕事をしたり、集中力が途切れて仕事の効率が落ちたりすることも。オンとオフのメリハリがなくなり、夜中でも仕事のメールやチャットをチェックしてしまう、という人もいるようです。

【ポイント③】1日のリズムを意識的につくる

仕事と日常生活、どちらも家の中だと、生活リズムが崩れがち。ざっくりと1日のタイムスケジュールを組むことをおすすめします。スケジュールには余裕を持たせ、予定通りにいかなくても仕方ないと割り切るくらいの方が、家族や仕事へのストレスを感じずに済みます。

また、仕事を始めるときは、服を着替える、メイクをするなど、自分なりの仕事スイッチを決めておくといいですね。メールやチャットのチェックは、○時までと決めたほうが、メンタル面でもメリハリがつくでしょう。
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やることがたくさんあってイライラするときは、「こうでなくちゃ」という思い込みを手放すのが、ストレス解消の近道です。例えば食事なら、「3食のごはんを毎回手づくり」とがんばらずに、「インスタントでもOK!」と決めるだけで、肩の力が抜けるはず。子どもと一緒に家事をしたり、家事分担を家族で見直すチャンスと考えてみてもいいでしょう。

慣れないリモートワークに完璧を求めない

慣れないリモートワークで、誰でも最初は、気苦労やストレスが溜まりがちです。慣れるに従って、ペースやシステムが改善されていくので、完璧を求めずに失敗を次のステップに活かそう、というくらいの気持ちでいるのがストレス軽減になります。

ただし、人と直接話すことが減り、「なんとなく孤独な気持ち」になってきた人は、自分自身で心のケアをすることが必要です。

そんなときは、自分なりの気分転換を見つけておくのが大切です。外に出かけるのは難しくても、「好きな映画やお笑いの動画を見る」「掃除や料理を家族のイベントにする」「オンラインでお茶会や飲み会をやってみる」「一人だけでゆっくりお風呂に入る」など、家でもできる気分転換はたくさんあります。おうち時間を利用して、資格取得や趣味の勉強を始める人も増えています。

リモートワークも慣れてくると便利なことがたくさんあります。コミュニケーションの取り方をひと工夫することで、余計なストレスを感じなくて済みます。リモートワークのメリットを生かしながら、スムーズに仕事をこなしていくことができれば、残りのおうち時間をもっと充実させることができますよ。
取材・文/工藤千秋 イラスト/地獄カレー