「未来への不安」とどう付き合う?|玉井仁さん ラク生き相談室 出張版

公開日:2021.1.15

更新日:2021.1.15

「未来への不安」とどう付き合う?|玉井仁さん ラク生き相談室 出張版

雑誌『からだにいいこと』との連動企画である本連載。臨床心理士の玉井仁さんが、読者のみなさんのお悩みを通し、「ラク」に生きるための考え方・コツなどをお伝えします。初回のテーマは「未来への不安」です。

この記事の監修:玉井仁さん

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臨床心理士、公認心理師。玉井心理研究室代表。認知行動療法を専門に提供し、個人・組織への心理カウンセリング提供など幅広く取り組む。著書に『自分に「いいね!」ができるようになる本』(清流出版)他。

玉井心理研究室HP
https://tamai-psychology.com/

今回のお悩み:派遣で不安定。今後の雇用が心配……

M・Yさん 46歳のお悩み
20年間ずっと、派遣社員(非正規)として働いています。いつまで雇用が続くのか不安ですが、40代で正社員になることを望んでもコロナの影響もあり、仕事は見つからないのではないかと思っています。

さらに、夫の仕事はコロナの影響を大きく受けていて、今後の減給がほぼ確定……。

一方で、小学校1年の子どもがいるため、いまは正社員としてフルタイムで働くのは難しいという思いも。老後が不安です。

玉井さんからの回答:「おばけの不安」に振り回されないで!

「今回の相談者さんは、考えれば考えるほど抜けられなくなる不安に振り回されているかもしれません」と玉井さん。不安と上手に付き合うコツを教えてもらいました。

「不安」は、2つの種類に分けられます

さまざまな事柄や場面に対して抱く「不安」という感情。実は、不安は2つの種類に分けられるんです。

1つ目は、「手を動かせる不安」。具体的な対策や行動ができる不安です。

テスト前に不安になったら、「勉強をする」という対策を取ることができますよね。これが「手を動かせる不安」です。

もう1つは、「おばけの不安」。遠い未来など、誰にも分からないことに対する不安です。「こうすれば大丈夫」という保証がないため、具体的な対策を取るのが難しい場合も多くあります。

「手を動かせる不安」は、日々を生きていくためのエネルギーとなります。

一方、「おばけの不安」は生活を飲み込みがち。どんな対策をとっても「絶対に大丈夫」と言い切れる状態にはならないので、正面から向き合おうとするほどモンスター化します。

ふくれ上がった「おばけの不安」は、あなたの毎日を不安で覆い、「納得感」や「満足感」を奪っていきます。
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納得感や満足感を積み上げ、「おばけの不安」から逃げよう

それでは、Mさんの不安を、整理してみましょう。

Mさんには、「正社員になりたい」という思いがある様子。これは、手を動かすことで解決できる不安かもしれません。

正社員になるための具体的な行動を始めてみると、不安は活動のためのエネルギーに変わっていきます。

一方、老後に対する不安は、今すぐ具体的に手を動かせるものではありません。こうすれば解消できる、という明確な保証もないので、これは「おばけの不安」でしょう。

真正面から立ち向かおうとすると飲み込まれてしまいますから、その前に逃げることが大事です。

そのために有効なのは、小さな「納得感」や「満足感」を毎日の生活のなかで積み上げていくこと。

「思い通りではなかったけれど、やれることはやった」と自分で自分を褒めたり、「あなたはよくやっている」とポジティブに応援してくれる周囲の人の声に耳を傾けたりしてみましょう。

そうした小さな納得感を積み重ねれば、「おばけの不安」から逃げることができるのです。
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不安をゼロにしようとせず、上手に切り分けて

派遣から正社員になれたとしても、先の読めない世の中の状況は変わらないため、不安がなくなるわけではありません。

「こういう選択さえすれば、不安はなくなる」ということはないのです。自分の中での納得と覚悟は、結構大切です。

でも、不安という感情はあなたに「気づき」を与えてくれます。対策を立てたり、行動したりするきっかけになって、あなたを守ってくれることも。

これは、怒りや憂うつな気持ちなど、ほかのネガティブな感情であっても同じことです。

不安をゼロにしようとせず、自分の持つ不安が「手を動かせる不安」なのか「おばけの不安」なのかを考え、整理しながら切り分けてみましょう。

それが習慣になると、不安という感情とももう少し上手に付き合うことができるようになるはずです。
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今月のラク生きヒント:少し先に楽しみをおいて

未来への不安を小さくするための1つの方法が、「少し先に楽しみをおいておく」こと。

たとえば、3カ月後の旅行が決まったり、4年に1度海外旅行に行くことを決めていたりすると、目の前の仕事や家事へのやる気が出たという経験はありませんか?

楽しみが「先」にあることで、かえって「いま」に集中できるようになります。

それは日々の中で、ささやかなよろこびに対する気づきにもつながります。小さなよろこびが心の栄養となり、未来への不安を小さくしてくれますよ。
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雑誌『からだにいいこと』では、毎号、玉井さんが別のお悩みにも答えています。人生をもっとラクに生きるためのヒントを知りたい方は、ぜひ、ご覧ください。

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からだにいいこと編集部「ラク生き相談室」係

取材・文/馬渕綾子 イラスト/ARI