【連載】気にしすぎ、心配性…。「ネガティブグセ」から脱却する方法

公開日:2020.1.23

更新日:2020.1.23

【連載】気にしすぎ、心配性…。「ネガティブグセ」から脱却する方法

メンタルアップマネージャ®の大野萌子さんが、ストレスをためない人づきあいや考え方をアドバイスするこの連載。第6回のテーマは「ネガティブグセ脱却法」です。人に言われたことをいつまでも気にしたり、思わず言ってしまったことを引きずったり……。そんなネガティブ思考の原因と断ち切り方を教えてもらいました。

この記事の監修

大野萌子さん

日本メンタルアップ支援機構 代表理事。メンタルアップマネージャ®、産業カウンセラー。企業の健康管理室カウンセラーとして、数多くの働く人を支えている。長年の経験を活かし、人間関係改善のコミュニケーション術やストレスマネジメントについて、講演・研修などを行う。

「ネガティブグセ」は子どもの頃の経験が影響

性格の悩みで意外と多いのが、人の言動が気になる、自分の発言がどう受け止められたか心配、といったネガティブな考え方。「何でもポジティブに考えられる人がうらやましい」と思っている人は、思いのほか多いものです。ものごとを何でもマイナスに考えたり、心配しすぎたりする“ネガティブ思考さん”に共通しているのは、自分への自信のなさ。それなのに、人からはよく思われたいという気持ちが人一倍強いのが特徴です。

そもそもネガティブもポジティブも人間の自然な感情。ネガティブを無理やり「ポジティブに考えなくちゃ」と思ったり、感情を抑えすぎたりすることで、心の中で反動が起こり、本当の気持ちとの間にギャップが生まれます。それにより苦しむ人も少なくありません。ネガティブグセがある人は、嫌なことを忘れよう!と考えますが、考えるほどそれに囚われて、ネガティブ感情が強化されてしまうのです。
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実は、ネガティブグセがあるか、ないかは、子どもの頃に育った環境にも大きく左右されます。自分の意見をきいてもらえなかったり、気持ちを受け止めてもらえなかったりした経験が多いと、「自分を主張すると悪い形で跳ね返ってくる」と思い込みます。小さい頃、親との関係があまりよくなかった、学校で友だちに仲よくしてもらえなかったなど、過去に自分が否定されていると感じた経験が、大人になったときにものごとをネガティブに捉える原因になりがちです。

「こうあるべき」と自分を責めてしまう

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“べき論”に縛られやすいのも、ネガティブグセのある人の特徴。何事にも“こうあるべき”という思い込みが強すぎて、自分で自分を縛りつけています。その“べき論”に当てはまらないと、さらに自分を責めて、負のループに陥ります。

同じできごとでも、人によって捉え方はそれぞれ。例えば、「家族には手料理を食べさせるべき」という考え方に縛られて、どんなに忙しくても惣菜や外食にたよることに罪悪感を感じていませんか? 夫が「忙しいなら外で食べてくるよ」という一言にも、「手料理を作らないことを責められている」とグサッと感じたり……。同じできごとでも、「外で食べてきてくれるなら、作らなくていいからラッキー!」と思う人もいるはずです。このようにネガティブグセのある人は、マイナス感情がどんどん大きくなって、自分から“ネガティブの渦”に巻き込まれていきやすいといえるでしょう。

ネガティブグセからの脱却方法

とはいえダメだと思ってもなかなか直らないネガティブグセ。毎回嫌になる負の感情から抜け出すには、どうしたらいいのでしょうか。その具体的な方法をご紹介します。

【1】マイナス感情を否定せずとことん浸る

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ネガティブグセのある人は、その気持ちをとことん感じて整理する「ひとり時間」が大切です。ひとり時間は、究極のリラックスタイム。誰かといるよりも心の整理整頓がしやすい時間といえます。「ネガティブになってはダメ」「明るくいなくちゃ」と無理するより、感情のままに大声で泣いたり、怒りを喚き散らしたりしてOK。

「私は今、苦しいんだ」と自分で感情を意識するのもいいですし、紙にネガティブな気持ちを書き出して、燃やしたり破り捨てたりするのもおすすめですです。

そうして、とことんマイナス感情に浸りきると、人は「傷つく→新しい気づき→次の目標」という気持ちの回復が進みやすくなります。ネガティブ感情を否定しないというのは訓練すればできるようになること。最初はむずかしくても、浮かび上がった感情を否定せず、そのまま「私は頭にきているんだな」「イヤな気持ちなんだな」とそのまま受け止めるクセをつけるようにしましょう。

【2】自分の気持ちを大事にする

ネガティブグセのある人は他人を優先しがちです。自分のことを後回しにしても、相手にそれがわかってもらえないことも多く、フラストレーションがたまり「こんなに我慢しているのに」と余計につらくなります。自己主張は、悪いことではありません。自分の意見はハッキリ伝え、折り合う地点を見つけていくのがベスト。

特に日本人は、相手を慮るあまりに人に合わせようとします。自分を押し殺しているうちに自分の気持ちさえ分からなくなるので気をつけて。「自分の気持ちを優先してOK」という感情を心のどこかに持ち、しなくてよいガマンを回避しましょう。

【3】行動を変えて、ネガティブ原因を減らす

ネガティブな性格は変わらなくても、行動を変えることでネガティブになる原因を減らすことができます。例えば、つねに「大丈夫かな……」と気になって仕方がない心配性。

その性格を直すことはできませんが、心配しなくていいよう行動することは可能なはず。遅刻が心配ならいつも30分早く家を出る、トイレットペーパーが切れるのが不安ならストック用に余分に買うなど、「心配」を思うよりもまずは「行動」を変えてみましょう。

行動が変わると、ネガティブへ思考に対して脳の認識が変わり、いつの間に悪い方向に考える場面が減ってくるでしょう。

【4】いつもの環境から飛び出し、こだわりを手放す

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ネガティブグセのある人はこだわりが強い人が多く、そういう人ほど気分転換が苦手。たまには、いつもと違う環境に身を置いて、自分を苦しめるこだわりを手放すイメージをしてみましょう。

家から出てプチ旅行に行く、映画を観に行くなど、普段とは違う体験をすることで、気持ちを切り替えるトレーニングになります。「これをすると気持ちがリセットできる」という自分なりの気分転換ルールを見つけておくと、次第にネガティブグセから開放されていきますよ。

【5】好きなことに夢中になる

自分が好きなことを見つけておくことも大切。好きなことに夢中になっている時間が増えれば、自然と負の感情は消え、ネガティブグセを忘れられます。

趣味を極める、ショッピングに行くなど、時間を忘れて夢中になれるものならなんでもOK。気持ちの“リセットボタン”となる好きなことを持っているだけで、ネガティブグセから抜け出す手段となります。

【6】「ネガティブ=悪い」という思い込みを外す

ものごとは悲観的だろうが、楽観的だろうが、なるようにしかなりません。そして、想像より悪い結末になることも、それほど多くないはず。「どうせ、なるようになる」と覚悟すると、マイナスばかり想像するのがバカらしく感じられるようになります。

「ネガティブは悪いこと」と決めつける必要もありません。逆に言えば、ポジティブがいいとも限らないということ。ものごとのリスクを考えたり、心配できたりするということは、あなたが繊細な心の持ち主だから。人の言動が気になるということは、それだけ周囲にアンテナを張る気配りができるということです。つまり、見方を変えると、ネガティブグセも自分の長所だったりします。

最も大切なのは自分の素直な気持ちを優先すること。そう意識するクセをつけると、自分の価値観がハッキリしてきます。すると、つらい状況も受け入れることができるようになり、自分自身がどうしたいかがわかるようになります。

「隠れネガティブ」の燃え尽きに注意

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最近、増えているのが「隠れネガティブ」という存在。ネガティブグセを隠して、表面的にはポジティブに明るく振る舞うタイプのことです。みんなの前ではいつも笑顔で明るく演じているけれど、家に帰ると自分の殻に閉じこもり、誰とも話したくない。そんなふうに人前との落差が激しい人は、注意が必要です。無理にポジティブに振る舞うほど、一人のときにネガティブに追い込まれて、突然燃え尽きてしまいます。

当てはまりそうと思う人は、「○○しなくては」「××はダメ」「△△であるべき」という、さまざまな呪縛に縛られていないか、自分を振り返ってみましょう。24時間、常に充実した100%の自分である必要はありません。毎日の中に、少しでも「楽しい」「やりがいがある」「認められた」という一瞬があるだけで十分なはず。無理をして理想の自分を演じるのは卒業しましょう。
ネガティブグセは、自分次第で脱却することができます。一つからでもいいので、初めてみてくださいね。少しずつ脱却していくことで、人生が今より楽になりますよ。
取材・文/工藤千秋 イラスト/地獄カレー