【連載】痛い! つらい! 知っておきたい「膀胱炎」と戦うビタミンって?

公開日:2020.3.24

更新日:2020.5.21

【連載】痛い! つらい! 知っておきたい「膀胱炎」と戦うビタミンって?

栄養に関する研究で世界をリードするDSM社の“ビタミン博士”こと乾泰地さんが、栄養が深く関わっている不調について教えてくれるこの連載。第7回のテーマは「膀胱炎(ぼうこうえん)」です。膀胱炎になると、おしっこのたびに“ツーン”とするどい痛みが走ったり、トイレが近くなったり…。「なりやすい」「繰り返す」という人のために、特に気をつけたい栄養素をご紹介します。

この記事の監修

乾 泰地(いぬい たいち)さん

 (22924)

栄養、健康、持続可能な暮らしの分野で事業を展開しているグローバル企業、DSM所属。同社のニュートリション サイエンス&アドボカシー APAC Northリージョナルマネージャー。薬学博士、一般社団法人 国際栄養食品協会 理事、英国 王立化学会 食品化学部会 理事。食品業界で10年以上、機能性食品や栄養、予防医学、咀嚼、歯科衛生といった食品と食べる機能の科学について研究、啓発にたずさわる。ヒトだけでなくイヌ、ネコの栄養、歯科に関しての経験もある。

■DSM
https://www.dsm.com/countrysites/japan/ja_JP/home.html

つら~い「膀胱炎」の症状は?

おしっこをするときに“ツーン”という痛みがあったり、トイレに行ったばかりなのに残尿感が消えなかったり…。このような症状があったら、「膀胱炎」の可能性があります。膀胱炎を経験したことのある人は、そのつらさが分かるはず。

そもそも膀胱炎は、細菌が膀胱の粘膜にくっつくことで炎症を起こす病気です。こうした症状の他にも、尿のにごりや血尿などがあらわれることもあります。(※1)
 (22567)

女性がなりやすい「膀胱炎」の原因

膀胱炎の原因で多いのは、尿が通る尿道や膀胱に入ってきた細菌が、悪さをして引き起こすパターン。このような細菌の原因となるほとんどが、「大腸菌」です。腸内にいた大腸菌が、排便時にたまたま尿道を経由して膀胱の中に入り、膀胱炎が起こります。(※1)
実は女性は、男性よりも膀胱炎になりやすい体のつくりをしています。男性に比べて尿道が短く、膀胱の中に細菌が侵入しやすいのです。さらに女性の場合は、尿道の出口が腟と肛門の場所と近いため、排便や性交渉などが原因で膀胱に細菌が入ることもしばしば…。(※1)
 (22570)

また、過労や睡眠不足、風邪などで体が弱っているときは、細菌がいたずらをしやすいので気をつけましょう。閉経前後の女性も、ホルモンバランスの変化で免疫の働きが変わるため膀胱炎にかかりやすくなるといわれています。(※1)

知っておきたい 膀胱炎の「3大栄養素」

そんな膀胱炎にお悩みの多くの女性には、「アントシアニン」「ビタミンA」「ビタミンD」がおすすめです。ここからは、この3つの栄養素が膀胱炎のお悩みに良い理由と、ぜひ摂ってほしい食べ物をご紹介します。

(1)“細菌をバリア”する「アントシアニン」

 (22571)

ポリフェノールの一種である「アントシアニン」は、膀胱の粘膜に細菌がくっつくのを防ぎます。そもそも体内では、粘膜が悪い菌から体を守るバリアになっています。しかし細菌は、体内に存在する「糖分」のおかげで、ツルツルした粘膜にピタッとくっつくことができてしまいます。

米粒って、つまむとネバネバしながら指にくっついてきますよね。これは、米に含まれる糖分の性質によるもの。同じように、糖分の“ネバネバパワー”が細菌と粘膜をくっつけているのです。アントシアニンは、細菌と粘膜が接する間に割り込んで“ネバネバパワー”をブロックしたり、糖分が作られるのを邪魔したりする働きがあります。

アントシアニンを効率よく摂取するには、甘酸っぱくておいしいクランベリージュースがおすすめです。

●「アントシアニン」を多く含む飲み物
クランベリージュース 

ちなみにアントシアニンは、歯に汚れが付くのを防ぐ働きもあり、歯を清潔に保ってくれます(※3)。よく目に良いと言われているアントシアニンですが、膀胱炎を防いで歯の健康も守るなんて、とても意外な一面ですね。

(2)“粘膜の修理屋さん”の「ビタミンA」

膀胱炎は、粘膜のキズが引き金になることも。膀胱内の薄くなった粘膜が破れてキズができると、細菌がそこに入り込み、炎症が起こってしまうのです。「ビタミンA」の働きは、そんな傷ついた粘膜を修復すること。ビタミンAが足りている人は、細菌から粘膜を守る防御力が高いという研究結果が出ています。

ではビタミンAを摂取するには、何を食べたら良いのでしょうか?
●「ビタミンA」を多く含む食べ物
レバー
にんじん など
 (22573)

レバーは食べすぎると、ビタミンAの摂り過ぎになってしまうので1日にたくさん食べないように注意しましょう。にんじんなどに含まれる、ビタミンAの元である「ベータカロテンに」は、体内でビタミンAへの変換が調整されているので摂りすぎの心配はありません。

(3)“細菌と戦う助っ人”の「ビタミンD」

最後にご紹介する「ビタミンD」は、細菌と戦うために3つ役割を果たしています。

1つ目は、細菌を食べて退治する白血球「マクロファージ」を活性化させる働き。マクロファージは、体内に侵入してきた細菌やその死骸をパクパク食べる “掃除屋さん”です。
 (22576)

2つ目は、体内で起こる炎症をコントロールする仕事。体内でひどい炎症が起こると体はダメージを受けてしまいます…。しかし炎症は、細菌を倒すために大切な働きでもあるので、程よいバランスが必要。ビタミンDは、過度な炎症を抑える抗炎症作用がある一方で、必要な時には炎症作用を支援し細菌と戦う働きもしています。

3つ目は、抗菌作用を持つたんぱく質の生成を促す働きです。ビタミンDは、免疫細胞が細菌と戦うたんぱく質を作るのを助けています。

さまざまなところで、細菌を倒す手助けをしているビタミンD。食べ物からビタミンDを摂るには、身近な魚やきのこがおすすめです。
●「ビタミンD」を多く含む食べ物
しらす

サバ
しいたけ
まいたけ
キクラゲ など
 (22578)

特に、週3~4回は魚を食べるとよいでしょう。また、ビタミンDは太陽の光に当てると増える性質があり、晴れた日にきのこを1~2時間ベランダに置いてから調理すると、栄養素がアップします。

これらの栄養素を摂る以外の膀胱炎予防として、水をたくさん飲むことも良いでしょう。こまめに水分補給をすれば、尿がたくさん出るので菌もスムーズに外に出ていきます(※2)。また細菌の温床にしないように、陰部を清潔に保つことも大切です(※1)。

膀胱炎になったら早めに病院へ!

膀胱炎になったら、まずは早めに病院へ行きましょう。そして、病院で処方される抗生物質は、すべて飲み切ること。症状が治まると、途中で飲むのをやめてしまう人がいます。抗生物質は最後まで飲まないと、殺し切れずに残った細菌が耐性を持ってしまいます。すると次に膀胱炎になってしまったときに、薬が効かなくなることもあります。病院で処方された抗生物質は、最後までしっかり飲み切るようにしましょう。

今回は、膀胱炎に関わる栄養素をご紹介しました。中でもアントシアニンを含むクランベリージュースは手軽に飲めておいしく摂取ができるので、ぜひお試しを! 膀胱炎を繰り返す、よくなるという人は、今日から取り入れてみてくださいね。


出典・参考/
※1…一般社団法人兵庫県医師会ホームページ
https://www.hyogo.med.or.jp/health-care/147%E3%80%80%E8%86%80%E8%83%B1%E7%82%8E%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%82%93%E3%81%AA%E7%97%85%E6%B0%97%E3%81%A7%E3%81%99%E3%81%8B%EF%BC%9F/
※2…MSD マニュアルプロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/03-%E6%B3%8C%E5%B0%BF%E5%99%A8%E7%96%BE%E6%82%A3/%E5%B0%BF%E8%B7%AF%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87-%EF%BC%88uti%EF%BC%89/%E7%B4%B0%E8%8F%8C%E6%80%A7%E5%B0%BF%E8%B7%AF%E6%84%9F%E6%9F%93%E7%97%87%EF%BC%88uti%EF%BC%89
※3…BCC NEWS UK
http://news.bbc.co.uk/2/hi/health/4466726.stm
イラスト/斉藤明子