鼻うがいのやり方は?感染症予防や鼻づまりに効果的な方法

公開日:2021.1.27

更新日:2021.2.1

鼻うがいのやり方は?感染症予防や鼻づまりに効果的な方法

風邪や感染症対策に効果的な鼻うがい。でも「痛そう…」というイメージがある人もいるのでは? 医師がおすすめする“痛くない鼻うがい”のやり方を紹介します。

この記事の監修:今井一彰さん

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内科医、東洋医学会漢方専門医。認定NPO法人「日本病巣疾患研究会」副理事長。2006年11月、福岡県福岡市に「みらいクリニック」を開院。NHK『ひるまえほっと』、TBS『ジョブチューン』他、多数メディアに出演。『あいうべ体操と口テープが病気を治す! 鼻呼吸なら薬はいらない』(新潮社)他、著書多数。

みらいクリニック https://mirai-iryou.com/
みらいクリニックYouTube https://www.youtube.com/user/mirakuri

意外と知られていない鼻うがいの効果

鼻の中の汚れをきれいにする鼻うがいは、感染症対策や鼻づまり改善に効果的です。

実はあまり知られていませんが、鼻は鼻水を出して穴の中を掃除しています。

例えば、いつもよりも空気が汚いところに行くと、鼻水や鼻くそがたくさん出ますよね。これは、鼻が自ら洗浄する力が高まっている証拠。

鼻の本来の働きで取りきれない汚れを、掃除するのが鼻うがいです。

鼻うがいをすることで、コロナやインフルエンザといった風邪ウイルスの増殖部位で、鼻の奥にある「上咽頭(じょういんとう)」についた汚れを落とす効果も期待されます。

また、鼻うがいをすることで、鼻づまりも緩和する役割も。

季節を問わず、人は知らないうちにPM2.5や黄砂などにより、鼻の中が汚れます。

特に、幹線道路沿いに住む人や屋外で仕事をする人、人の多い場所で仕事する人は、汚れやすいので、積極的に鼻うがいすることをおすすめします。

鼻うがいは新型コロナウイルスにも効果がある?

鼻うがいは、新型コロナウイルス予防にも効果があるといわれています。

今、新型コロナウイルスが流行していますが、実はこれまでもコロナウイルスはありました。

流行中の新型コロナウイルスではなく、従来のコロナウイルスですが、界面活性剤入りの鼻うがい液や、市販のマウスウォッシュにウイルスを30秒間浸したら、99.9%死滅したというアメリカの研究結果が報告されています。

この実験から、鼻うがいやマウスウォッシュは、コロナウイルスなどの感染症予防に効果があると期待されています。(※1)

また、鼻うがいには、コロナウイルスにかかった後のさまざまな症状(せき、声が枯れる、鼻水など)を早めに改善するといわれています。イギリスの研究で鼻うがいは新型コロナウイルスの治療に効果的という報告もあるのです。(※2)

(※1)Lowering the transmission and spread of human coronavirus
(※2)Hypertonic saline nasal irrigation and gargling should be considered as a treatment option for COVID-19

鼻うがいは痛くない! 鼻がツーンとしない理由とは?

水道水やプールの水が鼻の中に入ると“ツーン”として涙が出るほど痛くなりますよね。鼻うがいで痛くならないのは、鼻うがい液の“成分”に秘密があります。

鼻うがいで使うのは、体液とほとんど変わらない塩分濃度で作られた液体(生理食塩水)です。

塩分濃度が血液と等しく、水道水やプールの水に比べて少し高めにしてあります。

また、鼻粘膜の細胞内の物質よりも水道水の中に溶け込んでいる物質の濃度が低いので、これが鼻うがいのときの痛みに繋がります。

水道水が鼻に入ると、細胞と水道水の濃度の差で浸透圧差が起きて、細胞の粘膜が膨らみます。これを人は痛いと感じるのです。

鼻うがい液に含まれる塩分濃度は、体液の塩分濃度とだいたい同じくらい。しかも、濃度が変わらないので、細胞が膨らまず、鼻うがいをしても痛いと感じません。
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細胞と水道水の濃度の差があると浸透圧が起こる

初めてでも簡単! 痛くない鼻うがいのやり方

鼻うがい液は、鼻うがい専用に作られた市販のキットがおすすめです。しかし、食塩や重曹を使って自分で手作りすることもできます。

ちなみに、手作りする場合、鼻うがいの容器は100円ショップで売っているノズルがついた調味料の容器で代用できます。

容器は、液が鼻に入りやすいように、手で押しつぶせるくらいやわらかい素材のものを選ぶようにしましょう。次に用意するものを紹介します。
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用意するもの物
・500mlの白湯(人肌程度に温めておく)※やけどに注意
・塩5g(小さじ1杯)
・重曹0.5g(小さじ1/2)

・鼻うがいの容器(ノズルがついた容器)
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この分量で作ると、体液とほとんど変わらない成分なのでなじみます。

注意点として、手作りのうがい液は、時間が経つと雑菌が繁殖する場合があるので作り置きしないようにしてくださいね。

また、使う前に容器を水道水で洗い流しておきましょう。水道水に含まれる塩素には、除菌効果があります。

水道水をそのまま使うのが衛生的に心配な人は、水を煮沸消毒して冷ましたものや、蒸留水を使って作って下さい。

鼻うがいが終わった後は、蛇口周りの衛生を保つため、飛び散ったうがい液などをしっかり洗い流すようにしてください。

塩分濃度を濃くすることでよりウイルスの死滅が期待される

また、イギリスの研究によると、塩分濃度2.5〜3%と少し濃いめの鼻うがい液のほうが効果があるという結果が報告されました。

これは上記で紹介した鼻うがい液の塩を、25~30g(大さじ2杯)に変更すると作ることができます。

塩分濃度が高いと、鼻の奥まで高濃度の食塩が届きます。この食塩が鼻の粘膜細胞内でウイルスを不活化する次亜塩素酸を生み出します。(※3)

そのため濃い塩分濃度のうがい液には、ウイルスの死滅が期待できます。

(※3)Hypertonic saline nasal irrigation and gargling should be considered as a treatment option for COVID-19

鼻うがいのやり方

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(1)うがい液を容器に入れる。
(2)ノズルを鼻の穴の入り口から2〜3cmに差し込み、少量のうがい液を出してすすぐ。
(3)(2)と反対の穴もやる。
(4)「あー」と声を出しながら少しずつコップ1杯分ほどのうがい液を鼻の穴に入れて、もう片方の穴から出す。このとき、液を出す方に頭を傾ける。
(5)(4)と反対の穴もやる。

鼻うがいのやり方

鼻うがいを上手に行うには?
鼻から入れて口から出すと、ウイルスを増殖する上咽頭が洗えません。口から出ないようにするために、「あー」と声を出しながら鼻うがいをすると、反対側の穴からうまく出せます。声を出すことで、誤嚥を防ぐことにもなります。

鼻うがいをするときは、液が出てくる方向を下にするように頭を傾けましょう。こうすることで、耳に鼻うがい液が入らなくなります。

鼻うがいをするときは、他の器官に入らないように、液をゆっくり入れてください。
鼻の入口だけ洗う鼻うがいでもOK
液を鼻の奥まで入れるのが怖い人は、鼻の入り口だけ洗うのもOK。

鼻は、入り口から2〜3cmの間がかなり汚れています。この汚れを落とすだけでも、感染症予防に効果的です。
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両方の鼻で100ccほど使って洗うようにしましょう。

やる前にチェック! 鼻うがいの注意点とポイント

鼻うがいをやる前に確認しておくべきポイントや、注意点を紹介します。
鼻うがいをやめたほうがいい人
・中耳炎を起こしやすい人
・鼻にポリープがある人
・誤嚥を起こしやすい人

現在、鼻疾患で治療中の方は主治医と相談してください。
鼻うがいのタイミングと回数
鼻うがいの回数は、1日に2回するのがベストです。

1日に何回も鼻うがいをやると、鼻水に含まれる保湿成分も洗い流すことになるので鼻の中が乾燥してしまいます。これが、かえって粘膜を傷つけることになります。

タイミングは、朝起きたとき、外から家から帰ったときにするのがおすすめ。

朝起きると喉が痛くなった経験がある人も多いのでは。これは、夜は鼻水の量が少なくなり乾燥してしまうことが原因。

朝起きたタイミングで鼻うがいをすると、鼻の中に潤いを与えることができます。

外から帰ってきたときは外気で鼻の中が汚れているので、手洗いのついでに鼻うがいもするようにしましょう。

新型コロナウイルスは、インフルエンザと比べて体に侵入するのが遅いといわれています。そのため、1日に1回、丁寧に鼻うがいするだけでも効果が期待できます。
鼻うがいの注意点
鼻うがいをした数時間後に、鼻から液が垂れてくることがあります。これは、奥の方や副鼻腔(鼻の周囲にある空洞)に残った液が流れているだけなので、気になさらないでください。

最後に、痛そうだと思って躊躇せず、まずはやってみましょう。「鼻うがいは痛いもの」と思っている人が多いようですが、やってみると全然痛くありません。むしろ、気持ちいいと感じるはず。怖い場合は、鼻の入り口を少し洗うだけでも十分です。“鼻は病の入り口”といわれているので、うがい・手洗いと同じように、日々の習慣にしてみてくださいね。

イラスト/中村加代子