今を生きる全ての人へ 映画『Fukushima50』試写会レポート

公開日:2020.2.7

更新日:2020.2.7

今を生きる全ての人へ 映画『Fukushima50』試写会レポート

東日本大震災における福島第一原子力発電所(通称「イチエフ」)の事故を題材とした映画、『Fukushima50』が3月6日(金)に公開されます。公開に先駆け、からこと編集部Kが、1月26日(日)に有楽町の国際フォーラムで行われた試写会に参加しました。

映画『Fukushima50』あらすじ

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2011年3月11日午後2時46分に発生した、東日本大震災。その日、原発事故が起こった後も現場に残り、必死に緊急対応を続けた約50名の作業員たちのことを、海外メディアは「Fukushima50(フクシマフィフティ)」と呼びました。

巨大地震と大津波に襲われた福島第一原子力発電所・通称イチエフは非常用を含む全電源を失い、原子炉を冷やすことができない状態に陥りました。このままではメルトダウン(炉心が高温になり、核燃料の入った容器が溶け出すこと)を起こし、撒き散らされた放射能によって東日本全体が壊滅状態になってしまう…そんな状況で、1・2号機の当直長だった伊崎利夫(演:佐藤浩市)ら現場作業員は、原子炉を制御すべくあらゆる手立てを試みます。

作業員たちを含む全体を指揮したのは、福島第一原発の所長だった吉田昌郎(演:渡辺謙)。悪化し続ける状況の中、彼らは最後の手段「ベント(※)」に挑みます。

※ベント…原子炉の格納容器内部の蒸気を外へと排出し、圧力を急激に下げることで、容器の破裂を防ぐ緊急措置。ただし、周辺地域に放射能による汚染をもたらしてしまうという難点もあります。

すべての人が知るべき「真実の物語」

迫りくる想定外の津波や大きな揺れ、爆発音、伊崎や吉田らの怒号…こうしたものが飛び交う本作を見たとき、はじめは率直に「怖い」と感じました。しかし、描かれているエピソードはどれも、9年前に実際に起こった出来事です。

2020年の私たちは、ちょうど9年前のあの事故が甚大な被害をもたらしたものの、最悪の事態には繋がらなかったことを知っています。けれど当時の作業員たちは、いつ終わるとも知れぬ不測の事態と戦い続けました。故郷である福島や、家族をはじめそこで暮らす人たちを守るために、彼らは命を犠牲にする覚悟をしていたのです。

そのことは、今を生きる私たち全員が知っておかなければならない真実だと思います。

原作のクライマックスを試し読み

今回のワールドプレミアでは、配布資料の中にこんなものが入っていました。
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映画終了後に開いてみると、そこに書かれていたのは、原作ノンフィクション『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発(門田隆将・著)』第十七章「死に装束」の一部。本映画のクライマックスというべき場面の一つです。
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状況が悪化し続ける中、吉田は「最少人数を残して退避」するようにと指示を出します。ある者は目に涙を浮かべながら、ある者は申し訳なさそうにその場を離れていきました。そうした中で残り続ける吉田ら幹部を、安全サービス担当の佐藤眞理(映画では浅野真理/演:安田成美)は「死に装束をまとっているように見えた」と表現しています。

「皆さんに会うのはこれで最後」だと思った、という佐藤。現場に残る判断をした吉田たちも、命を失う覚悟をしていたことでしょう。一つひとつの描写からその様子が伝わり、たった8ページを抜粋した“試し読み”でも胸に響くものがありました。

原作『死の淵を見た男』で知る、極限の闘い

映画鑑賞後、各場面のことをさらに知りたいと思い、すぐに原作本を購入しました。

原作は、2011年3月に起こった出来事そのものと、関係者たちによる述懐とが織り交ぜられた構成になっています。
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ベントに向かう作業員たちを選んだ伊沢(映画では伊崎)が、どれほどの思いを噛み締めて決断したのか、退避を命じた吉田がどんな思いだったのか…。丁寧な取材によって浮かび上がる一人ひとりの人物像が、改めて胸に迫ってきました。

「極限の状況で戦った」「勇気ある50人」と言うと、あたかもスーパーヒーローが日本を救ってくれたように聞こえます。しかしそこにいたのは、私達と同じごく普通の人たちでした。450ページ以上にわたる大作ですが、何度も心を揺さぶられながら一気に読んでしまいました。

映画は3月6日(金)公開、原作は好評発売中!

福島での原発事故については、2011年から今に至るまで様々な報道がなされてきました。しかし、この映画、そして原作本の中で語られているエピソードは、私がこれまで知らなかったことばかりでした。彼らが命がけで守った今を、私自身も大切に生きなければならないと痛感しました。

映画は3月6日(金)に全国で公開されます。また、門田隆将による原作『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』は角川文庫より発売中です。

映画公式サイト
https://www.fukushima50.jp/