【連載】自己主張が下手な人・上手な人の言葉の選び方

公開日:2020.11.25

更新日:2020.11.25

【連載】自己主張が下手な人・上手な人の言葉の選び方

自分の言いたいことを上手に自己主張するには、言葉の使い方がポイントです。伝えることがうまくなると、人間関係にストレスを感じることが少なくなりますよ。

この記事の監修

大野萌子さん

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日本メンタルアップ支援機構 代表理事。メンタルアップマネージャ(R)、産業カウンセラー。企業の健康管理室カウンセラーとして、数多くの働く人を支えている。長年の経験を活かし、人間関係改善のコミュニケーション術やストレスマネジメントについて、講演・研修などを行う。

日本メンタルアップ支援機構
https://japan-mental-up.biz
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近著『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)。

伝えたいことを上手に伝えるには?

メンタルアップマネージャ(R)の大野萌子さんに人間関係でストレスをためない方法を教えてもらうこちらの連載。第14回目のテーマは、「自己主張が上手にできる言葉の選び方」です。

自分の意見を相手にうまく伝えるのは、仕事でも家庭でも意外と難しいですよね。伝えたいことをうまく伝えられる人は、自己主張がうまいということ。自分の言いたいことばかりを主張すると、自分勝手に映ったり、よかれと思って言ったことが相手の反感を買ったりしてトラブルの原因にもなります。

自己主張が下手な人が伝えたいことをきちんと主張するには、言葉の選び方が大切。次から具体的に解説していきます。

自己主張が下手な人は、真意が伝わりづらい

自分の言いたいことをシンプルに伝える。たったそれだけのことなのに、うまくできずに人間関係をこじらせてしまうことはありませんか?
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上手に自己主張できないのは、発する言葉と、本当に伝えたいことが一致していないから。自己主張が下手な人は、言い方が回りくどかったり、言葉がやんわりしすぎたていたりして、真意が伝わらないことがあります。

また、多いのが「どうせ私なんて」「結局ダメ」「仕方ない」といった“マイナス言葉”が口癖になっていること。こうした負の言葉が真意の邪魔をしています。
【自己主張ベタな人が言いがちなマイナス言葉】
どうせ、私の意見なんて参考にならないと思うけど、この資料はちょっと読みにくいかも。
・パパに言っても結局ダメだと思うけど、子どものお迎えに行ってもらえない?
・決まりだから仕方ないけれど、PTAのこの仕事は無駄だと思う。

「みんなが言っているから」は相手に響かない

言いにくいことを伝えるときは、「正論として認めさせたい」「自分の言っていることは間違っていない」という気持ちが働き、前置きに余計なNG言葉を使ってしまいがちです。それによって、無意識に相手を威圧して、追い詰める空気になりやすくなります。

代表的なのが、「みんなが言っているから」というNG言葉。“世間の常識”を押し付けようとしてもムダです。常識は人によって違います。周りがどう思っているかは抜きにして、私(自分)はどう思っているかをシンプルに伝えないと、相手の心には響きません。
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【他の人の声を理由にしがちなNGな言い方】
・ママ友たちみんなが言っているけど、○○さんは約束のドタキャンが多いんじゃない?
店長が「もっとミーティングで発言したほうがいい」って、言っていたよ。

自己主張がうまい人は、ストレス知らず

反対に自己主張が上手な人は、伝えたいことが相手にうまく伝わり、人間関係もスムーズ。ムダなストレスを感じることもありません。

具体的なポイントは、「私はこう思う」とシンプルに自分の意見を伝えることです。相手に伝えたいことをきちんと伝えたいときこそ、「私は〜」を主語にした「I(アイ)メッセージ」で語りかけるようにします。

相手にとって耳が痛い内容だからといって、内容をやんわり伝えたり、外堀を埋めるような回りくどい言い方をするのでは伝わりません。はっきりと「私はこうしてほしい」と伝えるようにしましょう。
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いきなり本題から入るのは言いづらいときは、「(私は)気になっているので、言っておくね」と一言添えるのも、上手に自己主張するための方法です。

こんなときどうする? 上手に自己主張する言葉の選び方

伝えたいことをしっかり自己主張するには、言葉の選び方が大切。シーン別に具体例をみてみましょう。

・以前交代した仕事の勤務シフトの振り替えを頼みたいとき

×「この間、シフト変わったときの用事、無事に済んだ?」といって、暗に交代したことを思い出させようとする

「この間代わってあげたシフトの件だけど、△日に振替で交代してもらえるかな?」
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・夫に家事を分担してほしいとき

×「やることがいっぱいあって大変!」と文句口調で言う

○「家事を手伝ってほしいのだけど、お皿洗いはお願いできるかな?」

・夫に子どもの面倒をみてほしいとき

×「子どもの世話をお願いね」(漠然としていて、どうしてほしいか伝わりにくい)

○「子どもを30分だけ公園に連れて行って」
(具体的にどうしたらいいかを伝えることで相手も行動しやすくなる)
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・ママ友に注意をするとき

×みんな、△△さんは遊ぶ約束をしてもドタキャンや遅刻をすると言っていて、評判が悪いよ。

私、気になっているんだけど、△△さんと約束しても守ってもらえなくて、がっかりしたり、残念に思ったりすることが多いんだよね。

自己主張で大切なのは「自分の気持ち」をまっすぐ伝えること。相手を責める表現は逆効果なので、そういう言葉選びにならないように注意しましょう。

「自分軸」を持てるようになると自己主張上手に

自己主張が上手にできる人は、「自分が何を言いたいのか」がはっきりしています。つまり、「自分軸」がある人。逆にいえば、自分が何を言いたいのかよくわからないなら、自分軸がない状態。主張したいことがぼんやりしていることが、攻撃的な言動に繋がりやすくなったりします。

自分軸を持つには、「自分がどういう気持か」という感情を掘り下げて、「原因」と「相手にどうしてほしいのか」をはっきりさせることが大切です。普段から、自分の感情を確認するクセをつけておくと、主張したいことがクリアになり、相手に伝わりやすい言葉が出てきやすくなります。

“自己中”と自己主張は別物

自分の意見や考えを主張することは、決して自己中心的ということではありません。“自己中”な人は、一方的に自分の意見を押し付けるだけですが、上手に自己主張できる人は、考えを伝えた上で、「あなたはどう思う?」と、相手の意見を聞く余裕があります。

自分の気持ちや意見は伝えるけれど、一番大切なのは自分も相手も尊重する姿勢。お互いが受け入れやすい言葉を選ぶことで、上手に自己主張をして、ストレスのない人間関係をつくりましょう。
取材・文/工藤千秋 イラスト/地獄カレー