この記事の監修:伊藤 剛さん
「冷え対策」と「冷え性対策」は違う!?
「冷えが治らないのは、冷え対策と冷え症対策を混同しているからです」と話すのは、冷え症の研究と治療の専門家、北里大学東洋医学総合研究所の伊藤剛さんです。
「たとえば、白湯は体によいし、しょうがは胃腸にはよいものです。でも、体を直接温める効果はありません。また、人間には恒常性維持機能があるため、一時的な食べ物の温度によって『冷え症』になることもありません」
伊藤さんがみんなの冷え解消法を診断!
寝るときの靴下
図のように足指を曲げて、血流をいったん止めると血管を広げる物質が出て、血流が改善されて温まります」
保温は必要
おなかの冷え
生のしょうが
そもそも冷え症って? 冷え性との違いは? その対策は?
一方で東洋医学では、症状の訴えがあれば「冷え“症”」として治療の対象とします。
「自分の冷え症タイプを知り、その原因に合った抜本的な改善法を行うことが大切です」
4つの「冷え症タイプ」あなたはどれ? 対策は?
いちばん多い「下半身型」
その原因は腰やお尻に! 仙骨と股関節をつなぐ梨状筋が、運動不足などが原因で硬くなり、坐骨神経を圧迫。交感神経が緊張して、脚の血管を締めてしまうため、動脈の血流が減って下半身が冷えます。
●マッサージのやり方
床やベッドの上に寝てソフトボールを臀中の下に挟み、体を斜め45度に傾けて体重をかけて押します。1回30秒まで、1日1〜2回まで。押し過ぎには注意!
若い女性に多い「四肢末端型」
食事量や筋肉量が不足していると、熱が十分に作れません。すると、体温低下を防ぐため、交感神経が過剰に働き、末しょうの血管が収縮。その結果、手先や足先の血流が減り、冷えます。
【改善するには】
体の熱量不足が原因なので、まず、食事量を増やすこと。そして、食べたときの産熱量が多いたんぱく質を積極的に摂ること。
それと同時に、運動量を増やすこと。ラジオ体操のように、全身の筋肉を大きくバランスよく動かす運動を習慣化して、熱を作るのも大切です。
足先の冷えから腰痛や頭痛を誘発しやすいので、足指ストレッチ(先に解説した、寝る時の靴下の項を参照)で足先を温めるのも効果的です。
一見冷え症に見えない「内臓型」
生まれつき副交感神経の働きが強い人に多い。交感神経の働きが弱いため、寒い環境でも末しょうの血管が収縮せず、熱をどんどん放出。内臓の温度が低下してしまいます。
【改善するには】
熱が逃げ過ぎて体の内部が冷えるので、まず重要なのが保温です。ただし、汗をかきやすいので、温め過ぎも禁物。熱がこもらないよう、通気性のよい素材を選びましょう。
と同時に、交感神経の働きを強化したほうがよいので、ウォーキングやランニングなど、全身を使う運動で交感神経を刺激することも必要です。このタイプには、漢方薬も有効です。
寒気を感じる「全身型」
基礎代謝が低く、体内で十分な熱が作れないため全身が冷えます。ストレスや不摂生な生活が要因となるケースが多い。なかには甲状腺の機能低下が原因となっている場合もあります。
【改善するには】
体の内側も外側も冷えているので、熱が逃げないように保温することが重要です。そして、熱を生み出すために、食事やたんぱく質の量を増やすことを心がけて。
また、代謝の悪さをカバーし、心肺機能を高めるために、運動を習慣化しましょう。ラジオ体操のように、体を大きく動かす運動をゆっくり行うのがおすすめです。漢方薬での治療も効果的です。
全てのタイプに共通する原因が運動不足やストレスなので、運動習慣とメンタルケアには特に気をつけましょう。