管理栄養士監修 無理なダイエットはNG!「新型コロナウイルス」を防ぐ食事と栄養

公開日:2020.5.28

更新日:2020.5.28

管理栄養士監修 無理なダイエットはNG!「新型コロナウイルス」を防ぐ食事と栄養

「新型コロナウイルス」による緊急事態宣言が全国的に解除されましたが、まだまだ油断はできません。第2波の危険も叫ばれる中、何より大切なのは、自分自身でウイルスから身を守る体にしておくこと。おうち時間が長くなり、食事と健康への意識が高まる今、“食と栄養”でできる対策を、管理栄養士の榊 玲里さんにお聞きしました。

この記事の監修:榊 玲里(さかき れいり)さん

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管理栄養士。雑穀エキスパート。インナービューティー美腸マイスター。病院などで栄養相談を行いながら、雑誌などでも栄養・健康を考えた料理を紹介。著書に『身近な素材ですぐできる 手作り健康常備食』(PHP研究所)他。
榊 玲里さんからのコメント
新型コロナウイルス予防として、うがい・手洗いはもちろん大切ですが、今こそ気を遣いたいのが食事と栄養です。風邪は2~3日で治りますが、新型コロナウイルスは発熱やせき、倦怠感や頭痛などの症状がしばらく続くことが多く、重症化すると、肺炎になり人工呼吸器が必要な場合もあります。新しいウイルスのため、特効薬やワクチンもまだ定まりません。だからこそ、ウイルスに打ち勝つ体の力が必要です。人には、あらゆる病原菌に対して、身を守ろうとする免疫機能があります。免疫機能を働かせるには、様々な栄養が関係しているので、無理なダイエットはやめて、今こそしっかり栄養を摂っていきましょう。

食事と栄養でできる「新型コロナ」対策とは?

そもそも私たちの体は、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラルを摂取して、健康な状態を維持しています。体に備わった免疫機能は、複数の食品を食べて、そこからさまざまな栄養素が総合的に作用することで働きます。栄養素は、お互いをサポートしながら良い働きをしてくれるというわけです。

新型コロナウイルス対策として免疫機能を高めておくには、「○○だけ食べる」「一品で済ませる」といった食生活をやめて、まずは偏りなく食品を摂ることを意識してください。血糖値が高い人も重症化しやすいといった報告があり、常に健康体であることでウイルス感染へのリスクを軽減することができます。

免疫機能アップに必要な「栄養素とおすすめ食材」

免疫機能アップには「偏りなく食品を摂る」ことが基本ですが、有効性が認められている栄養素がありますので、いくつかご紹介していきます。

免疫機能を増強する「ビタミンA」

皮膚や粘膜の健康維持を助ける「ビタミンA」は、免疫機能を増強する作用もあります。乳児のビタミンA補給は、数種のワクチン接種後の抗体反応を向上させる可能性があります。また、ビタミンAとDが不足していた小児(2〜8歳)に、ビタミンAとDの補給をしたところ、インフルエンザワクチン接種に対する免疫応答が増強したことが報告されています(※1)。免疫機能と密接な関わりを持つ栄養素といえます。
●ビタミンAを多く含む食材
緑黄色野菜(色の濃い野菜)・レバー・うなぎ
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免疫機能の調節に「ビタミンD」

「ビタミンD」は、骨を強くする栄養素として知られています。近年、免疫機能の調節に重要な役割を果たすことがわかってきました。「ビタミンD欠乏症」は、急性ウイルス性呼吸器感染症への感受性が亢進する(度合いが進む)ことがわかっています(※1)。

ビタミンDは食べ物で摂る以外に、太陽を浴びることで、体内で生成されますが、外出自粛が続いたことでますます不足していると考えられます。18歳以上のビタミンDの摂取目安量は、1日8.5㎍です。下記のイラストを参考にしてみてください。
●ビタミンDを多く含む食材
しらす・いわし・鮭・さんま・カジキマグロ・鯖などの魚
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きくらげ・まいたけ
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●ビタミンD生成には太陽の光を浴びる
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感染症を遠ざける「亜鉛」

年代問わず多くの女性が不足している「亜鉛」。亜鉛の欠乏症は、ウイルス感染症を含む、感染症への感受性の亢進(度合いが進むこと)と関連しています。例えば、HIVやHCV(C型肝炎ウイルス)などの感染症リスクが高いことがわかっています(※1)。
●亜鉛を多く含む食材
牡蠣・レバー・牛肉(脂肪が少ない赤身がおすすめ)・卵・ナッツ
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極端なダイエットはリスクを高める

新型コロナウイルスは、BMI18以下の人も重症化しやすくなるといった報告があります。BMIとは、肥満度を表す体格指数のこと(体重<kg>÷身長<m>の2乗で計算できます)。自粛期間が長くなったことで“コロナ太り”を気にしている人も多いことでしょう。

しかし、「糖質をまったく摂らない」「食事は野菜がメイン」などといった極端な食事制限は危険です。肺炎の場合、太っているほうが死亡率が低いといったデータがあります。
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肺炎の場合はやせた人よりも十分なエネルギーを貯えた肥満者の死亡率が2.4分の1と低い。
出典:香川栄養学園 女子栄養大学栄養科学研究所ホームページhttps://www.eiyo.ac.jp/ions/
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体内に炎症が起こり、発熱しているときにはエネルギーを多く使います。そのため、体内に脂肪を蓄えている肥満者の方が、脂肪からエネルギーを作ることができるので、長期の発熱にも耐えることができます。

また、低蛋白質症と低BMIは、肺炎のリスクを高めることがわかっています。
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低蛋白血症(アルブミン3.5g/dl未満)が11~22倍も肺炎罹患率を高め、BMIが18 kg/m2未満の者も2~3倍のリスク。
出典:香川栄養学園 女子栄養大学栄養科学研究所ホームページhttps://www.eiyo.ac.jp/ions/
病原菌と戦ってくれる免疫細胞は、「血清アルブミン(血液中のたんぱく質の一種)」をはじめとしたさまざまな栄養素から作られるため、血液中のたんぱく質濃度が低いと免疫機能が正常に働かなくなります。

新型コロナウイルスは、一度終息したとしても、またいつ流行が起こるかわかりません。防御力を高めるためにも極端なダイエットはやめて、栄養を意識したバランスのよい食生活を送ることが大切です。

何をどれだけ食べるのがいいの?

では、何をどれくらい食べたらいいの? という人のために、自分の手でわかる食べ方の目安をご紹介します。1日3食を、下のイラストを参考にしてみてください。
たんぱく質は
毎食、手のひらにのる量を
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野菜や海藻、きのこ類は、毎食、生で両手一杯
ゆでたら片手一杯を目安に
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ごはんは毎食、握りこぶし一つ分(150g)
麺は1玉、パンは4枚切り1枚
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ごはんは、胚芽米や玄米、雑穀米などにすることでより多くの栄養をとることができます。

子ども・お年寄りにおすすめの食べ方

自分の免疫機能アップはもちろんですが、家族の感染も心配ですよね。特に子どもや高齢者は、消化機能が弱かったり、食べる量が少なかったりすると、成人と比べて低栄養になりやすくなります。

小さなお子さんやお年寄りは、間食で食事回数を増やしたり、消化されやすく腸内環境を整えてくれる発酵食品を摂ったりするといいでしょう。さまざまな栄養素を含んだ卵、噛みやすいひき肉、大豆の発酵食品である納豆や味噌などがおすすめです。

うんちチェックを! 腸内環境が免疫機能に関わる

最後に、自分の免疫機能がしっかり働いているかを確かめるために、毎日の「うんちチェック」をおすすめします。腸内環境が良いことで、免疫機能が正常に働きやすくなります。イラストのようなソーセージ状の便が理想的。排便時には、トイレでチェックしましょう。
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※ブリストルスケールによる便の性状分類を参照
新型コロナウイルスはいったん落ち着いても長期化する問題です。寒く乾燥する時期になると、ウイルスに感染するリスクも高まるため、一時的ではなく、今から冬に向けて体調を整えていく意識を持つことが大切です。この機会に、食生活を見直したり、食事を丁寧に作る機会が増えたりしたことでしょう。自分の体は自分で守る。そんな食生活を続けていきたいですね。
※1 参考文献/一般社団法人日本スポーツ栄養協会
ウイルス感染症に対する免疫強化の栄養戦略 新型コロナを念頭に置いての文献レビュー
https://sndj-web.jp/news/000695.php
イラスト/坂木浩子