この記事の監修
乾 泰地(いぬい たいち)さん
体内で生成できる唯一無二のビタミン
日本人はビタミンDが全く足りていない
病気にならない最低限の基準を満たしていない「欠乏」、最低限は満たしているけれど十分ではない「不足」、十分に必要な基準を満たしている「充足」です。お金に当てはめてみると、栄養が足りずに病気になってしまう借金状態の「欠乏」、借金はないけれども将来に向けた貯金を切り崩している「不足」、そして将来に備えて栄養を多めに摂取できている「充足」ということになります。この“健康貯金”効果を一番期待されているのがビタミンDです。
しかし、多くの日本人は、男女ともにビタミンDが「不足」した状態でありながら(※1)、十分な量を摂取できていません(※2)。ビタミンDの中には種類があり、きのこに多く含まれる「ビタミンD2」と、魚に多く含まれる「ビタミンD3」があります。日本人のビタミンDが「欠乏・不足」している理由には、食生活が欧米化して、昔より魚を食べなくなってしまったことが考えられます。また、女性にとっては必須アイテムですが、実は日焼け止めが普及していることも一因です。
ビタミンD不足をチェック!
(1)あなたの年齢は?
□50歳以上 (0点)
□40歳以上50歳未満 (0点)
□40歳未満 (5点)
(2)あなたの性別は?
□男性 (0点)
□女性 (8点)
(3)今の季節は?
□春(4月~6月) (4点)
□夏(7月~9月) (0点)
□秋(10月~12月) (4点)
□冬(1月~3月) (7点)
(4)運動(スポーツ)をどれくらいしますか?
□全くしない (7点)
□月1~2回 (5点)
□週1回 (0点)
□週2回以上 (0点)
(5)この12ヶ月間の日焼けの有無と、日焼け止め使用の有無について、当てはまるものを選んでください。日焼けとは肌が黒くなることをさします。週5、6日以上使用しているなら、「日焼け止め使用有り」を選びましょう。
□「日焼け有り」で「日焼け止め使用無し」 (0点)
□「日焼け有り」で「日焼け止め使用有り」 (2点)
□「日焼け無し」で「日焼け止め使用無し」 (2点)
□「日焼け無し」で「日焼け止め使用有り」 (9点)
(6)この3ヶ月間に、腕や足などが出るような軽装で、日光を浴びたことはどれくらいありますか?
□いつも(毎日) (0点)
□たいてい(5、6日/週) (0点)
□ときどき(3、4日/週) (0点)
□まれに(1、2日/週) (6点)
□全くない(1日未満/週) (9点)
(7)以下の魚は普段どのくらい摂取しますか?
※例えば、「さけ」を週に2回、「いわし」を週に1回食べる場合には、合計で週3回の摂取となり、「週に2回以上」の0点にチェックを入れます。
・さけ (目安:1切れ<100g>)
・いわし (目安:中1尾<50g>)
・さんま (目安:1尾<100g>)
・カレイ (目安:1切れ<100g>)
・ウナギ (目安:1串<100g>)
・ニシン (目安:1切れ<100g>)
・いさき (目安:1尾<100g>)
・かわはぎ (目安:1尾<50g>)
□週に2回以上 (0点)
□週に2回未満 (9点)
項目1~7の合計点数が「31点以上の人」は、ビタミンD欠乏の可能性が高くなります。ビタミンDのサプリを飲んでいるならその可能性は低くなりますが、意識して摂取している人は多くはないはず……。ふだん私たちがあまり摂取できていないビタミンD。実は、女性の健康にとても重要な役割を果たしています。
ビタミンDは体のあちこちで大活躍!
働き(1) 骨を丈夫にする
特に女性は、更年期にさしかかると「骨粗しょう症」のリスクがアップします。それは、女性ホルモンの低下により骨密度が下がるから。骨密度は、年を取るにつれて減っていき、一度減ったら増えることはありません。しかし、ビタミンDを貯金しておけば、加齢と共におこる骨密度の減少を軽くすることができます。将来の丈夫な骨のために、ビタミンDを今から多めに摂っておくことが大切です。
赤ちゃんの骨のためにも必要!
働き(2) 健康的な肌をサポート
つまり、サンケアをしすぎると、実は逆に肌が弱くなるということ! 日焼けが気になる方は、食事でのビタミンD摂取を意識して、体の内側から健やかな肌づくりを心がけるといいですね。
働き(3) 大腸がんや糖尿病リスクにも関係
これだけでもビタミンDのパワーはすごいということが分かりますが、まだまだ研究は続いています。今後、もっとすばらしい効果が発見されるかもしれません。
魚ときのこでビタミンDをチャージ
【きのこ】
しいたけ
まいたけ
キクラゲ など
【魚】
しらす
鮭
サバ
ビタミンは、体内にとどまる時間が短く、尿と一緒に排出される種類もありますが、ビタミンDは体内に1週間ほどとどまる特徴があります。おすすめは、週3~4回は魚を食べること。また、油に溶けて、熱に弱く酸に強い性質があるため、より多くのビタミンDを摂るならマリネやカルパッチョがよいでしょう。
出典/
※1…第6回「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会 資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000209592_00004.html
※2…平成29年国民健康・栄養調査より
※3… Kuwabara, A, Tsugawa, N, Mizuno, K, Ogasawara, H, Watanabe, Y and Tanaka, K (2019). "A simple questionnaire for the prediction of vitamin D deficiency in Japanese adults (Vitaimn D Deficiency questionnaire for Japanese: VDDQ-J)." Journal of Bone and Mineral Metabolism 37(5): 854-863.
※4… Holick, MF (2011). "Vitamin D: Evolutionary, Physiological and Health Perspectives." Current Drug Targets 12(1): 4-18.
※5… Kuwabata, A (2019). "The association between vitamin D status and cancer." Vitamins 93(1): 25-28.
※6… Christakos, S, Dhawan, P, Verstuyf, A, Verlinden, L and Carmeliet, G (2016). "Vitamin D: Metabolism, Molecular Mechanism of Action, and Pleiotropic Effects." Physiological reviews 96(1): 365-408.
こちらの記事もチェック!
「ビタミンB6・B12」が、お疲れ女子の体を救う!|からだにいいことWeb

生理痛・生理前の不調は、青魚の「オメガ3脂肪酸」が効く!|からだにいいことWeb

痛い、何度もできる…「口内炎」を防ぐビタミンB群摂取のコツ|からだにいいことWeb

女性の生理不順や骨粗しょう症予防に「マルチビタミン」がいい理由|からだにいいことWeb

■DSM
https://www.dsm.com/countrysites/japan/ja_JP/home.html