【連載】ストレスをためない「伝え方テクニック」で、人間関係がスムーズに!

公開日:2020.4.21

更新日:2020.4.21

【連載】ストレスをためない「伝え方テクニック」で、人間関係がスムーズに!

メンタルアップマネージャ®の大野萌子さんが、ストレスをためない上手な人づきあいを教えてくれる連載。第8回のテーマは、「言いづらいことを上手に伝えるテク」です。「こう言ったらどう思われるかな…」と、発言を我慢してしまうことはありませんか? 言いたいことを伝えられると、心のモヤモヤがスッキリ! ストレスを溜めない伝え方を教えてもらいました。

この記事の監修

大野萌子さん

日本メンタルアップ支援機構 代表理事。メンタルアップマネージャ®、産業カウンセラー。企業の健康管理室カウンセラーとして、数多くの働く人を支えている。長年の経験を活かし、人間関係改善のコミュニケーション術やストレスマネジメントについて、講演・研修などを行う。

言いたいことを言わないと人間関係が悪化

相手の話しに対して、「自分は『それは違うのでは?』と思っても、意見を言えなかった」「これを言ってしまったら関係性が悪くなるのでは…」。そんなふうに「言いづらいから」と我慢を続けることで、人間関係はますます悪くなります。自分自身も言いたいことを言えないので、状況が変わらないことへのストレスが溜まりますよね。心に溜めたままでいると、あなたの気持ちに気づかない相手の言葉や行動は、どんどんエスカレート。さらにイライラ・モヤモヤが積み上がります。

伝え下手な人がハマリやすい「負のスパイラル」

そもそも「言いづらい」と感じる理由は、言い方を間違えると人間関係がギクシャクしてしまうかも、という不安があるから。

自分の意見を伝えるのが苦手な人は、いつも口を閉ざしてしまうので、なかなか人に気持ちをわかってもらえません。でも、伝えていないのだから、当然ですよね。しかし、「察してくれてもいいのに」という気持ちも持ち合わせているために、そのことに必要以上に傷つき、「どうせわかってもらえないのだから、言うだけ無駄」とあきらめて、「言わない」ことを繰り返してしまう。これが伝えるのが苦手な人が陥りやすい「負のスパイラル」です。
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上手な伝え方 3つのポイント

前出の「負のスパイラル」で挙げたように、伝えるのが苦手な人は、「察してもらいたい」という気持ちを抱えがちです。しかし、人は言葉で伝えないと、理解してくれません。言葉で意思を伝えるのは勇気がいることですが、伝えることで初めて状況は変化します。そのためにも、上手に伝えるための3つのポイントをご紹介します。

「事実を」「シンプルに」「穏やかに」伝える

(1)事実を伝える
伝えたい「事実」を明確に話すことが大切です。自分の感情や周りの人の意見などを交えて話してしまうと、相手も感情的に受け止めてしまい、素直に聞き入れにくくなります。
(2)シンプルに伝える
シンプルに簡潔に話すことで、伝えたい内容がクリアに伝わります。余計な言い訳を加えたり、回りくどい言い方をしたりすると、何を伝えたいのかよくわからなくなるので逆効果。
(3)穏やかに伝える
相手を責めたり、揉めたりすることが目的ではないとはっきり示すためにも、穏やかな雰囲気で話すこと。責めるような表情や口調では、言われているほうも感情的になり、言いたいことが伝わらないどころか、人間関係に角が立ちます。

ケース別 上手な「伝え方テクニック」

ご紹介したように、ポイントは「事実を」「シンプルに」「穏やかに」伝えること。では、他にもよくあるシーンを例に、上手な伝え方を考えてみましょう。
■CASE1 相手に直してもらいたいことがあるとき
【例】段取りが悪くて仕事が遅い同僚。周りが迷惑していることを上手く伝えたいけれど、悪く受け止められると、気分を害してその後の仕事や関係性に響きそう。
【OKな言い方】
◎「仕事が遅れ気味で、みんなが残業になっている。効率的に進めるために具体策を話し合いたい」

◎「業務が滞っているので、○○してみようと思うけど、どう?」
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上手な伝え方の基本は、自分を主語にして「私は〜」の視点で語る「Iメッセージ」です。問題となっている事実に対して、私がどう思っているのか、どう考えているのかを具体的かつシンプルに伝えると、相手も責められたと感じることなく、意見が伝わりやすくなります。
【NGな言い方】
×「仕事が遅れているのは、あなたのやり方に問題があると思う」

×「あなたは努力が足りない。もっと工夫してスピードアップすべき」
相手を主語にした「YOUメッセージ」は、相手の悪いところを指摘して非難しているように聞こえがちです。人格を否定されているように感じて、状況を改善するどころか、あなたに対する不快感や敵対心を持たせることにもつながります。
■CASE2 人からの誘いを断るとき
【例】ママ友から興味のないイベントに何度も誘われて困る。その度に適当な理由を見つけて断っているが、私が嫌がっていることに気づかない。どうやって断ったら、ママ友がイヤな気分にならずにあきらめてくれるのか…。
【OKな断り方】
◎「いつも誘ってもらっていて申し訳ないのだけど、○○なイベントは苦手なの。ごめんなさい」
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誘いを断るときは、基本的に「行けない」という事実だけをシンプルかつ丁寧に伝えればOK。断る理由をあれこれ説明する必要はありません。ただし「その手のイベントが好きではない」など、明確な理由があるなら、それもはっきり伝えるのがベスト。この場合は、理由も伝えないと、別の日程で何度も誘われてしまうでしょう。相手も「誘っても断られてばかり」というモヤモヤから開放されて、納得してくれるはずです。
【NGな断り方】
×「その日は先約があるから、行けなさそう」

×「ちょうど仕事が入っていて難しいかも」など、適当な嘘をついて断る
別の約束を理由に断るということは、天秤にかけてそちらを優先させたとも取られかねません。「自分は軽く見られている」と相手が感じる場合もあるので、言わないほうが無難。下手な嘘をつくと、あとから辻褄が合わなくなって、嘘がバレる可能性も。余計な嘘はトラブルの種になりかねません。
■CASE3 貸したお金を返して欲しいとき
【例】飲み会でお金が足りなかった同僚に1000円貸したけれど、すっかり忘れてしまった様子。お金のことはなかなか言いづらくて…、どんなふうに切り出したらいいの?
【OKな言い方】
◎「この間、建て替えた1000円、返してもらえるかな?」
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あれこれ余計なことを言わず、事実をシンプルに「お金を返してほしい」と伝えれば、相手も「忘れていて、ごめんね」と素直に返してくれるはず。「貸した」という言い方がきついように感じるなら、「建て替えた」という言葉を使えばソフトな印象に。
【NGな言い方】
×「この間、楽しかったよね」と、飲み会の話題を持ち出し思い出させようとする

×「なんか忘れていない?」と質問形式で問いかける

×食事や買物のときにわざと「財布を忘れた」「手持ちのお金が足りない」などと言って、相手にお金を出させて相殺する
遠回しに話題を振ったり、思い出させようとしても、相手はピンとこないもの。持って回った言い方をして、相手があとで「お金の催促をされていた」と気づくほうが、お互い気まずいはず。絶対NGなのは、貸したお金を自分勝手に相殺しようとすること。逆に、「貸したお金を返さない人」とあなたがレッテルを貼られるかもしれません。

人は、言葉にしないと理解できない

日本人は、人に迷惑をかけてはいけないという「他者優先」の文化で育ち、言いたいことを言うのは「わがまま」と考えがちです。しかし、自己主張とわがままは別のものです。人は言葉で言わなければ、理解できません。

ストレートに言葉にしても、相手から嫌われたり、人間関係が壊れるとは限りません。逆にはっきり伝えたほうが、お互いが理解し合えて、関係がよくなるケースが多いのではないでしょうか。

伝えるのが苦手な人は、そのせいでどんどんストレスを溜め込んでしまいます。まずは、自分が何にイライラ・モヤモヤしているのかを明確にしましょう。例えば、なぜか嫌な仕事ばかり押しつけられてしまうこと、嫌だと思っているのに人の悪口を聞かされること…。それが明確になると、相手に「伝えるべき事実」がはっきりしてくるでしょう。
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また、違和感が小さなうちに話すことも大切です。カレーで例えるなら、こちらも言いやすく、相手も聞き入れやすい「甘口」のうちに伝えること。辛口になるほど、言いたいことが膨らみ、言いづらくなります。

伝え方上手になるには、普段から自分の考えを身近な人に言葉で伝える習慣を持つことをおすすめします。言葉にする機会をたくさん持つことで、伝える力が自然と上達。「伝えるテク」がアップすれば、今よりもっと人とコミュニケーションが取れて、ストレスのない人間関係を築くことができますよ。
取材・文/工藤千秋 イラスト/地獄カレー