自衛隊メンタル教官が教える “不安なココロ” のトリセツ

公開日:2019.5.9

更新日:2019.5.16

自衛隊メンタル教官が教える “不安なココロ” のトリセツ

ちょっとしたことでイライラ、モヤモヤ…こうした困った感情の根っこにあるのが「不安」。通信や移動手段の発達で、他人との関わりが膨大な現代は、常に不安スイッチが押されやすい状況です。不安がふくらみ過ぎると、うつなど心の病気にも。不安とうまく付き合い、解消する方法を身につけましょう!

不安は「命を守る」強烈なプログラム。だから消えにくい。

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「不安はありがたくも、やっかいなもの」と言うのは、自衛隊で心のケアを指導する下園壮太さん。不安はもともと、原始時代から本能にそなわった”命を守る装置”。このおかげで私たちは、将来の危険を予想して防犯や貯蓄をし、命を守ってきました。
 集団で生きる動物である人間は、とくに社会的地位が脅かされることに敏感です。他人と比べたり、必要以上に自分や家族に期待を抱くことでも不安が発動します。

アラフォーの不安は膨らみやすい!

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【精神疲労のためこみ】
家庭や職場の人間関係だけでなく、不安はSNSやテレビの情報からも生まれます。そこから驚き、嫉妬、悲しみ、怒り、焦りといった負の感情も大量に派生して、精神疲労が蓄積。
【加齢で自信喪失】
体の機能や見た目の衰えを自覚し始め、「20代ではできていたのに……」と自信を失い、不安を感じるように。
【困難なライフイベント】
40歳前後から親の介護、離婚、失業、子供の受験など、困難な人生の出来事が増え、不安の大きな材料に。

あなたの不安度チェック! こんな状態になってない?

問題なのは、不安が大きくなっていることに気づかないこと。
一度立ち止まって自分に目を向けて「不安度チェック」を!
□ 肩こりなど体の不調を強く感じる
□ 毎日のようにイライラする
□ 何かとミスが多い
□ 人づきあいを面倒に思う
□ もっとがんばらなければと思う
□ 「休んだら?」と言われることがある
□ やけ食いや衝動買いが多い
□ あまり笑っていない
チェックの数が多いほど、実はあなたの不安はふくらんでいます。その状態が続くと、うつなどの心の病気に。チェックが2つ以上ついたら、早急に「不安リセット法」を行って!

不安を小さくするには、心の疲れのリセットを。

小さいうちなら放置してもじき小さくなる不安も、大きくなると問題に。不安はふくらませないのがポイントです。完全に消すのはムリでも、小さくする方法なら意外にシンプルです。

現代人の不安は心の疲れが原因の場合が多いもの。そこでまずは疲労のリセットを。
それには眠りや食事など、生きるうえで最も基本的なことを一生懸命に行うのがコツ。心の疲れを取り去ると負の感情が出ていき、不安が小さくなりますよ。

「週末+1日は完全に休む」で、不安をリセット

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負の感情で疲れが上乗せされないよう、ストレスある人間関係から距離をおいて。
仕事は休み、家族とも離れた方がラクなら、自分が泊まりに出るか、家族に外出してもらって。日中ひとりで過ごすだけでも違います。
最低でも3日間は休んで睡眠を最優先し、脳の疲れをすっきり取ります。家事もできれば人に頼みましょう。代行サービスを利用しても。

休日は大好きなものをおいしく食べる

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充分睡眠をとったら、次は「食」。心が求める食べ物は心の疲労を取り、不安を小さくしてくれます。
必ずしも「栄養がある」「健康にいい」必要はなく、大好きなものをおいしく食べることが大切。市販の惣菜やコンビニ弁当でも、高級フレンチや手作りの和食でも。

癒やし系でストレス解消

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睡眠と食が満たされたら、ゆっくりしましょう。買い物やスポーツのような「はしゃぎ系」ストレス解消法は、楽しくても翌日以降に疲れが。
疲れのリセットには、ゆったりした音楽を聴く、自然や動物に触れる、本や映画を見るなど癒やし系の解消法を。

集中できる作業に没頭!

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心がネガティブになるときは、自分が好きな集中できることを行って。料理や手芸など、手を使うことが◎。鍋やお風呂を磨いてみたり、頭をカラにして何かに集中すると不安な思考が中断し、不安スィッチが押される前にリセットできます。不安を感じたらすぐ始めて。

不安体質を変えるトレーニング

ゆったリズム行動

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何かとスピード優先の現代。そこに不安から生まれる「焦り」が加わると、食べる、歩くといった生活行動も速くなります。
この“我を忘れている”状態では、自分への意識がなくなって他人優先の思考になり、不安が生まれやすくなります。
「いつもよりゆっくり」噛んで食べる、歩く、歯を磨く、体を洗うなどしてみて。味覚、嗅覚、触覚といった五感を強く意識すると、さらに効果的。

プチ修行

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座禅、写経、読経といった宗教の修行は、心の根にある不安を抑える効果が大きいもの。ただし不安体質の人は、型や正確さを求めて逆に不安が生まれがち。ゆるい感覚が大切です。例えば座禅はクッションの上に楽な姿勢であぐらをかき、ひざの上に手をおいて「い〜ち、に〜い、」と呼吸を100まで数えて。写経は好きな言葉を1文字ずつていねいに書く、読経は好きな歌をハミングすればOK、疲れたらやめましょう。

いいかげんエクサ

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「完璧にやらなくちゃ」「たくさん成果をあげないと」と、目標を高く持ちすぎるのが不安の元。このクセをなくすのが「いいかげんエクサ」。ただ適当に好きなように動くだけ。座った姿勢なら、首や肩を気持ちいい方向に伸ばしたり回したり。立った姿勢では上半身をひねる、背伸びや屈伸をするなど、30秒くらい行って。

苦手な人ウォッチ

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「危険」と思う対象の情報不足は、必要以上に不安をあおります。例えばあなたが苦手と思う人は、普段からあまり目に入らないようにしているために情報が不足。そこで相手を一度、注意深く観察してみましょう。相手のダメなところや意外にいいところを発見すると、親しみがわいて不安が起きにくくなります。

「できません」宣言

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他人と比べたり、期待に応えようとして、「もっとできる」「これくらいはやらないと」とついムリをしてしまうのが不安体質の人。けれどすでに充分な努力をしている場合が多いもの。
しんどくなったら、思いきって早めの「できません」宣言を。これで不安の増殖がストップします。
心にたまった疲労を捨てれば、不安は小さくなります。ちょっとしたストレス解消でなく、時間をとってしっかり捨て去ることがポイントですよ!

この記事の監修

下園壮太さん

陸上自衛隊メンタルヘルス教官。自衛隊での数々の現場経験を元に、独自の理論で心の指導にあたっている。著書に『プチうつ症候群の正しい理解と知識』(日東書院本社¥1,512)。「『一見、いい人』が一番ヤバイ」(PHP研究所¥1,296)
イラスト/大野彰子
(からだにいいこと2015年4月号より)