ジョン・ムーアさんから学ぶ、本当にからだにいい食べ物 。同じ野菜でも種が違うと栄養値が全く違うこと、知っていますか?

公開日:2019.3.25

更新日:2019.3.25

ジョン・ムーアさんから学ぶ、本当にからだにいい食べ物 。同じ野菜でも種が違うと栄養値が全く違うこと、知っていますか?

こんにちは。からこと発信部ライターの長縄由実です。からだにいいことの連載で、毎月様々なオーガニックライフを紹介しているジョン・ムーアさんから植物の種のお話が聞ける、「シードエクスチェンジ」というイベントが開催されました。種についての知識はありませんが、食の知識を増やすことで、普段野菜をあまり採らない自分の食生活を改善できればと思い、この度参加させていただきました。

ジョン・ムーアさんの活動

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ジョン・ムーアさんは、品種改良によって失われつつある在来種を守る活動をしています。一般社団法人シーズオブライフの代表理事として、種の問題や自身の活動を伝えるセミナー、種の交換会などを企画するほか、社会貢献プロジェクト「オーガビッツ」のアンバサダーとして、オーガニックコットンを普及させる活動も行っています。
このようにジョン・ムーアさんの種を守る活動は多岐にわたりますが、今を生きる私たちだけでなく、子孫や地球の未来を守るためにできることを、多くの人々と共有して進めていこうという活動です。そして、からだにいいこと3・4・5月号と3号連続で、ジョン・ムーアさんが活動する徳之島での「シードライブラリー」についてご紹介しています。

ジョン・ムーアさんが活動する徳之島ってどんなところ?

徳之島とは?

徳之島は、鹿児島の南部に位置する離島で、人口は約3万人。奄美群島最大の耕地面積を有し、暖かい気候と広大な農地に恵まれ、サトウキビ栽培を中心とした農業が盛んに行われている島です。今回のイベントでは、島の人々の暮らしや徳之島で採れる珍しい野菜、そして島で栽培されているコーヒーの実などをスライドショーで見せてもらい、徳之島のリアルな姿を感じることができました。
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時代の流れにより変わりつつある徳之島農業の実態

徳之島はこのような農業に適した自然環境の中で、昔は多種多様な農作物を育てて自給自足の暮らしをしてきました。しかし、効率を求められた工業的な農業となってしまった近代では、ほとんどの農家が同じ種類のサトウキビとジャガイモだけを栽培するように。そのため、農作物の多様性が失われてきているそうです。このような時代の流れによって、これまで大切に守られてきた在来種の姿が消えつつあるとのことです。

ジョン・ムーアさんが徳之島で活動する「シードライブラリー」とは?

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失われつつある徳之島で育ててきた多様多種な農作物を蘇らせるために、ジョン・ムーアさんが徳之島で始めたのが、「シードライブラリー」という活動です。その活動は、①種を分けてもらう ② その種を植えて作物を育てる ③種が採れたら返す という、図書館のような仕組みになっています。

この活動は、まずは地元で受け継がれている種を探すところから始まります。プロの農家さんは購入した種を使っているため、大切なのは代々受け継がれた種で植物を育てている、おじいさんやおばあさんに会いに行くことだそうです。

消えつつある在来種。私たちが毎日食べている野菜はどんな種から採れているの?

今回のイベントで、ジョン・ムーアさんから私たちの食生活に関わる、種と食についてとても興味深いお話も伺いました。その土地で受け継がれてきた在来種がなくなっているということですが、私たちが食べている野菜はどんな種からできているのでしょうか。

もともと存在していた「在来種」と人間が作った「F1種」

種の種類はおもに、もともと存在していた「在来種」と、人間が作った「F1種」があるとのことです。

在来種とは、
その土地に受け継がれてきた種で、土地の気候や土壌などのすべての環境を吸収してどんどん進化し、次世代の種へと引き継いでくれます。
F1(エフワン)種とは、
first filial generationの略で、大きさや形の揃った作物を大量に栽培できるよう交配させて人工的に作られた種子です。これは一代限りしか使えない品種なので、毎年新しい種を買う必要があります。

そして、現在の農家で使われている種子や ホームセンターなどで販売されている種子はほとんどが「F1種」なのです。

F1種や遺伝子組み換え種子による食べ物の危機

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人間が生み出したF1種と遺伝子組換え種子のDNAの操作と搾取によって、100年前に比べて食物の多様性は75%も消失。F1種の作物は在来種に比べて、植物によっては栄養価が70パーセント近くも低下しているものもあることもわかっているそうです。

同じ種類の野菜であれば、同じ栄養値だと思っていましたが、在来種がF1種かという違いで、その野菜が持つ栄養値がこれほどまでに違うなんて、とても驚きました。

徳之島の野菜を使ったランチを試食

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今回イベントが行われたのは、東京・神田にある自然派レストランのROSY。築60年の布団屋さんだった民家をリノベーションし、昨年の9月からレストランとして営業しています。開放感のある高い天井は当時のままにしているとのことで、店内には伝統と温かさが残っています。そこでいただいたランチは、徳之島の食材を6割以上使用した、オーガニックフードの料理でした。
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グリーンピースのスープ、ハンダマとヨモギのベニエ、人参のラぺ、ケールのロースト、トマトの煮込み、グリーンサラダ
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パンナコッタに島ミカンとタンカンのジュレ
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徳之島で作られた、宮出珈琲園のコーヒー
徳之島から届いた野菜はその土地で長く育ってきた栄養値の高い食材です。自然の中で採れた野菜なので、いびつな形をした野菜も多く届くそう。特にグリーンピースは東京のものより2倍弱の大きさをしていて驚かれたそうです。徳之島の野菜は甘みも苦味もギュッと詰まっていて、いつも食べている野菜より食材の旨さが際立ち、一層美味しく感じました。

特に参加者の皆さんから美味しい!と声が上がったケールは、キャベツの芯のように硬かったため、サラダとしてではなく、オリーブオイルとお塩をつけてオーブンで焼いてローストにしたとのこと。在来種の野菜を使った調理に長けている、自然派レストランROSYのシェフならではのアイディアです。

シードエクスチェンジから学んだ、100年後の未来のために私たちができること

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3月8日に行われたシードエクスチェンジ
今では知る人が少ないと思いますが、昔は村や地域で頻繁に「種の交換会」が行われていたそうです。種の交換会とは、自分たちが食べる作物は自分たちで作り、次の世代に残していくという仕組み。その取り組みを蘇らせるために行われているのが、シードエクスチェンジです。
しかし、現代では1世代だけしか生きられないF1種が主流となり、地域で守られてきた在来種はどんどん少なくなっています。そして、それは私たちの食も不自然なものへと変わってしまっているということです。

食に興味のなかった私もこのような衝撃的なお話を聞いて、シードエクスチェンジで積極的に種を頂いてきました。そして今その種を見つめながら「本物の種子が本物の人生をくれる」というジョン・ムーアさんの言葉を思い出しています。私たちはこの種子のDNAを途絶えさせてしまっていいのでしょうか。どんな植物も命は種から始まり、また種へと命が繋がれていく。私たちにとっての本当に大切な種の価値を、100年後の未来のために今、見つめ直してみませんか。