どんどん深くなる30代のほうれい線対策には、どんなスキンケアや化粧品成分が効くのでしょうか? 皮膚科専門医・小林智子さんに30代のほうれい線対策を聞きました。
この記事の監修:小林智子さん
30代のほうれい線の原因は「糖化ストレス」
鏡を見るたびに気になるほうれい線。30代に入ると「ほうれい線がくっきりしてきた」「メイクでは隠しきれない」という人も多いはず。
ほうれい線は、肌のたるみによって起こります。たるみの原因は真皮(肌の奥)にあるコラーゲンの減少や質の低下、皮下脂肪の増加、筋肉の萎縮など。特に頬は、重力により皮膚が垂れ下がりやすい部分。この垂れ下がった皮膚によってできる口まわりの溝が、ほうれい線です。
コラーゲンの量や質の低下は20代後半から始まりますが、30代はそれが次第に見た目に表れてくる年代。ほうれい線対策のためにも30代から気をつけて欲しいのが、「糖化ストレス」。「糖化」とは、体の中で余った糖とたんぱく質が結びついて、質の悪いコラーゲンを作ること。この糖化ストレスにより、肌のたるみが進行します。
30代のほうれい線対策は?
ほうれい線が、気になり始めてからでも、きちんとケアをすれば、まだ間に合います。ほうれい線を目立たなくする30代におすすめの対策をご紹介します。
スキンケアはシンプルでOK
30代からのスキンケアは、化粧水や乳液を含めて3種類くらいでOK。肌の老化が気になり始めると、基礎化粧品をあれこれ増やしがちですが、5種類以上のアイテムを使うと配合成分がかぶってしまうことも。使いすぎは、あまり意味がありません。
また、化粧水は、軽く塗るだけで十分。コットンパックをしたり、何度もパッティングしたりして丁寧に塗りがちですが、化粧水の本来の役割は保湿ではなく、肌を整えること。何度も塗ると、摩擦によるダメージが生まれて、たるみにつながります。
ただし、スキンケアはシンプルにする代わりに、日焼け止めを毎日欠かさず塗ることをお忘れなく。
シワ改善なら、レチノール・ナイアシンアミド・ビタミンC入りを
ほうれい線ケアにも効果的なシワ改善クリーム。30代からの肌におすすめなのは、「レチノール」や「ナイアシンアミド」、「ビタミンC」が配合されているもの。これら成分は、コラーゲンの生成を促し、ほうれい線が深くなるのを防いでくれるでしょう。
また、化粧品に配合されているコラーゲンは、水分を引きよせる働きがありますが、減少したコラーゲンを肌の中で補うわけではありません。しかし、低分子のコラーゲンサプリを飲む場合は、体の中からコラーゲンを補うことができます。
「顔筋トレーニング」で頬を引き締める
顔の筋肉を動かすトレーニングは、たるんだ頬をキュッと引き締めます。マスク生活でゆるんだ口元を刺激して引き上げましょう。
(1)口を閉じたまましっかりと口角を上げて笑顔を作る。唇をつぶすような形にしてできるだけ外に押し出す。このとき、口元の筋肉が固くなっていることを確認。
(2)両手の人差し指を口角の上に置く。人差し指で口角を押しながら、頬の筋肉を持ち上げるように、頬骨に向かって指を垂直にスライド。頬骨から筋肉をしっかり持ち上げたまま目尻の下に指を移動させる。そのまま、中指を人差し指に重ねて20秒押す。
ますます深くなる⁉ ほうれい線を作るNG習慣
乱れた食生活や過剰なスキンケア、睡眠不足は、ほうれい線をどんどん深くします。30代からは特に、ほうれい線の原因となるNG習慣に気をつけましょう。
甘いものや炭水化物の摂り過ぎに注意
コラーゲンの質を下げ、たるみの原因となる「糖化ストレス」。肌の糖化を防ぐには、甘いものや炭水化物を摂り過ぎないこと。糖の吸収をゆるやかにする食物繊維を食事に取り入れましょう。例えば、ランチはどんぶりよりもバランスよく栄養が取れる定食にする、食物繊維豊富なサラダから先に食べるなどの工夫を。
また、食事の前にヨーグルトやお酢を摂ることも、糖の吸収を防ぎます。お酢は、食前にリンゴ酢を炭酸水で割ったドリンクを飲んだり、前菜として酢の物、マリネとして食べたりして摂るのがおすすめです。
ゴシゴシ洗顔は摩擦の元に
摩擦による肌ダメージを防ぐために、ゴシゴシ洗いすぎる洗顔はNG。泡を肌にのせたら、手でクルクルなでるように軽くなじませて、すぐに洗い流します。
低刺激のクリームタイプクレンジングは摩擦が起こりやすいので、おすすめしません。洗浄力の高いクレンジングで時間をかけず摩擦の少ないメイクオフをしましょう。
睡眠不足は老け顔の原因
当たり前のことですが、ハリのある肌のために睡眠は毎日しっかりとりましょう。睡眠不足は老け顔を作ります。睡眠時に分泌されるホルモン「メラトニン」には、糖化ストレスを和らげる働きがあります。
仕事や家事で忙しい日々の中で睡眠時間を確保するには、がんばり過ぎないことが大切です。そして、質の高い睡眠のために、寝る直前にスマホを見ないなど、リラックスできる環境を整えて入眠の準備を。
30代はコラーゲン低下が見た目に現れ始め、ほうれい線が目立ってくる年齢です。年齢肌に逆らおうと、スキンケアをついがんばってしまいがちですが、摩擦につながるケアは逆効果。ほうれい線が気になるならスキンケアはシンプルにして、食生活を見直したりぐっすり眠ったりして体の中から整えていきましょう。
仕事や家事で自分の時間がなかなかとれない年代ですが、肌のためには無理をしない生活を心がけてくださいね。
元化粧品メーカー勤務の美容ライター。からだにいいことWebのほか、女性向けのライフスタイル系Webメディアなどで取材や執筆を担当。より深い美容の知識を深めるため、日本化粧品検定1級を取得。SNSでおすすめのコスメや美容法を発信中。
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2010年に日本医科大学卒業後、名古屋大学医学部皮膚科に入局。同大学大学院皮膚病態学にてアトピー性皮膚炎について研究。大学院博士課程修了後、アメリカ・ノースウェスタン大学にて、ポストマスターフェローとして臨床研究に従事。帰国後、同志社大学生命医科学部アンチエイジングリサーチセンターにて、糖化と肌について研究を行いながら、都内の皮膚科および美容皮膚科医院に勤務。
肌糖化に着目したブランド「Dr.Recipe」を監修。『皮膚科医が実践している 極上肌のつくり方』(彩図社)、『皮膚科専門医が教える 40代からはじめる正しい美肌レッスン』(彩図社)他、著書多数。
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